【書評】『パーソナリティ障害』著者 岡田尊司

今回は『「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか
著者:岡田尊司をレビューします。

パーソナリティ障害(人格障害)のことは日本の社会に全くと言っていいほど広まっておらず、
パーソナリティ障害を抱えている方も、その周囲の方も苦労されているのではないでしょうか?

自分がパーソナリティ障害であることに気づいていない人もいるでしょう。
周囲の人も、その人のことをただ「変な人」という目で見てしまうことがあります。
そうなると軋轢が生まれ、トラブルになることがあります。

本書は2004年に出版されているので、情報が古くなっているものがありますが、
パーソナリティ障害の
特徴と背景、接し方のコツ、克服のポイントを
具体的に分かりやすくく解説されています。

私の経験を踏まえながら、本書のレビューを行っていきます。

どういう悩みを抱えた人に向けられた本なのか?

私自身が2010年に入院し、医師から「失調型パーソナリティ障害」だと診断されました。
その前には約4年間、別の病院に通院していたのですが、
そこの医師からはパーソナリティ障害のことは何も言われませんでした。
簡単に言えば、見抜くことができなかったということです。

退院後も複数の医師や臨床心理士の方と話をしましたが、
パーソナリティ障害について詳しく語れる人はほぼいませんでした。
自分がパーソナリティ障害だと分かってても、どのような特徴があり、
どのように生きていけばいいのかが、全くと言っていいほど分かりませんでした。

本書の中でもパーソナリティ障害を抱えた人に対する対応の遅れが指摘されています。

ところが、パーソナリティ障害について、専門家でさえ、十分な認識があるとはいえない状況である。
勇気を出して専門家の門を叩いたのに、パーソナリティ障害(人格障害)は性格の問題なので、
出す薬がないといって、追い返されたという話も聞く。
表に出ている、うつや不眠、不安という症状に対してだけ、薬を出してくれるが、
その基盤にあるパーソナリティの問題については関わらないというのが一般的だ。
そこには、医療経済的な理由もあるだろうし、パーソナリティの問題に
有効に対処するスキルを持ち合わせていないという現実もある。

引用:パーソナリティ障害p21

パーソナリティ障害であることが分かってもどうすればいいのか分からない。
診断後は、患者に全て投げっぱなしでは話になりません。

少なくとも私の場合は、診断後には医師から本書を勧められましたし、
ロールシャッハテストや文章完成法といった心理テストを行い、そ
の結果を臨床心理士の方から伝えられ、いくつか助言をいただきました。
ですから、患者に投げっぱなしということではありませんでした。

しかし、その情報量は決して多くはありませんでした。

そういう状況の中、本書の存在は非常に大きかったです。
入院中を含む全ての診察よりも、本書から得た情報の方が圧倒的に多かったです。

本書では以下のパーソナリティ障害について解説されています。

・妄想性パーソナリティ障害
・シゾイドパーソナリティ障害
・統合失調型パーソナリティ障害
・反社会性パーソナリティ障害
・境界性パーソナリティ障害
・演技性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害
・回避性パーソナリティ障害
・依存性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害

精神障害の診断と統計マニュアル」というものがあります。
DSMと呼ばれることの方が一般的でしょうか。
2013年にDSM-5が承認され、定義が広まったり狭まったり修正が加えられたとのことです。

こういう情報もメディアで取り上げられることがありませんので、我々の元には届きません。

本書では上記のパーソナリティ障害を抱えていた人を挙げ、
どのような特徴があったのかが解説されています。
例えば統合失調型パーソナリティ障害の場合は、C.G.ユングや夏目漱石が
このパーソナリティ障害だったと言われており、
どのように生き、克服してきたのかが解説されています。

イラストやグラフ、漫画の充実度について

深刻な悩みを抱え、精神的に不安定な人は多くの文字を読む気力はないでしょう。
あるいは元々読書の習慣がない、理解力が乏しく勉強が苦手な方は
文章のみの専門書を読み解くことはできません。
悩みを解決させたく、本を手に取ったにも関わらず理解できず悩みが解決しないのでは意味がありません。

そういう方にはイラストやグラフ、漫画などがあると理解しやすいと考えております。
そのため、私のレビューではこれらの充実度も評価に含ませています。

本書にはイラストや図などは充実していませんが、
巻末にパーソナリティ自己診断シート(DSM-Ⅳに準拠)が付いています。
全10セクターに分かれており、当てはまるものを選んでいくという簡単なテストです。

最後のひとこと


パーソナリティ障害に対する認識は、日本の社会にまったく広まっていません。
私の経験でも、精神科の医師や臨床心理士であっても実態を理解していなかったり、
適切な助言を与えられる人は皆無です。

この状況の中で、各パーソナリティ障害に対する理解を深め、特徴や接し方、
克服の仕方が解説されている本書は非常に心強い存在です。

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