【書評】「むなしさ」を感じたときに読む本|著者:水島広子

今回は『「むなしさ」を感じたときに読む本』著者:水島広子をレビューします。

むなしいという言葉を漢字で表すと、「空しい」または「虚しい」になります。
やる気が無い、生きる意義が感じられないなど、心が空っぽの状態といえるでしょう。

私自身も精神疾患で気持ちが落ち込む経験は何度もありましたし、
入院中には他の患者さんとも少し話をしましたが、同じような思いをされている方はたくさんいました。

「むなしさ」を感じたときに読む本の著者の精神科医の水島広子先生は、
「むなしさは生き方を変えたほうがいいというサイン」だと述べられています。
このままの生き方を続けていると、眠ることでも気力が回復せず、
生命力が衰え、『生きる屍(しかばね)』になる恐れがあるのです。

本書では、むなしさを感じた人の悩みに水島先生が答えていく形式が取られています。
相談者の年齢も悩みの種類も幅が広く、多くの悩める人の助けになるでしょう。

むなしさを感じた様々なケースが掲載

むなしさとは具体的にどのようなことを示すのでしょうか?なかなか答えが出てきません。

そこで本書に掲載されている相談者からの悩みの一部を記してみます。

・時間をかけて作った資料にミスがあり、ライバル企業に負けてしまった。
・一度も良い思いをしたことがない。これから先も同じだと思うとむなしい。
・ありのままの自分をみせられず、建前や見栄で取り繕ってしまう。
・誰も自分に関心を持ってくれず、孤独に押しつぶされそう。
・婚活をしても上手くいかない。生きるに値しないのではないかと思う。
・同じことを毎日繰り返すだけの人生がむなしく感じる。

仕事や恋愛の悩み、生きる意義が感じられないなど多種多様な相談に対して、
水島先生が答えていくという形式になっています。
水島先生は相談者の悩みを否定せず、冷静に適切な助言をされているという印象を受けました。

相談に答えるだけでなく、「むなしさとは何か」や人に相談するときのポイント、
安全な人と安全ではない人の見分け方にも触れられています。

この記事を読んでいるあなた自身は深刻な悩みを抱えていないかもしれませんが、
それでも本書はおすすめできます。
あなたの周りにむなしさを感じ、悩んでいる方がいるのではないでしょうか?
その方を支えるためには「むなしさの特徴や性質」を知る必要があります。
本書はそれらを学ぶのにも適しています。

小難しい表現が使われておらず、水島先生の人柄が伝わる適切な助言が多いです。
多くの人におすすめできる一冊になっています。

深刻な悩みを抱え、精神的に不安定な人は多くの文字を読む気力はないでしょう。
あるいは元々読書の習慣がない、理解力が乏しく勉強が苦手な方は
文章のみの専門書を読み解くことはできません。

『「むなしさ」を感じたときに読む本』では残念ながらイラストやグラフはありません。
文章だけの内容になっています。しかしながら、その内容は優れており、
多様な悩みに対して、適切で分かりやすく書かれているので、過度の心配は無用です。

「むなしさ」を感じたときに読む本の総評

間違いなく良書です。

一見むなしい生き方のように感じたとしても、見方を変えると
それも立派な生き方であると気づかされることがあります。
深刻な悩みのように思えたものが、本書を読むとたいした悩みではないと気づかされることもあります。

水島先生は衆議院議員として政治の世界で活躍された経験があります。
異なる政治思想や価値観を持った政治家の方たちと議論を交わしつつ、
対立構造を作らず、目標を共有して社会を変えることに成功した経験があります。
そのことも本書で触れられていますので、異なる考えを持った人との人間関係に悩む人にもおすすめできます。

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