曲を作り続けて量産すれば、作曲の実力が上がるのでしょうか?
「いい曲を作りたければとにかくひたすら曲を書き続けろ」
などとアドバイスをする人がいますが、私はそれを否定します。
このような全く根拠がないことを教えることはきわめて無責任です。
音楽というのは、そんなに単純なものではありません。
曲を作り続ければ良い曲を作れるようになるというのは幻想です。
曲を作り続けるだけで名曲が作れるようになるならば、
この世の中、名曲だらけになるでしょう。
しかし、実際にはそうはなっていません。
それどころか日本の音楽業界のレベルは下がり続けています。
今回の記事では曲を量産しても、作曲の実力は上がらない理由と、
本当にやらなければいけない努力について解説します。
曲を量産しても作曲の力は上がらない
残念ながら、曲を量産しても作曲の力は上がりません。
『習うより慣れろ』ではある程度のレベルまでは到達できますが
そこで壁にぶつかり成長が止まります。
車の運転で例えてみましょう。
あなたが免許を取得して毎日、車を運転するようになったとします。
すると、平均的な運転能力を持ったドライバーにはなれるでしょう。
しかし、それだけで超一流のドライバーにはなれませんよね?
超一流のドライバーとはF1のレーサーや映画のスタントカーを
運転するドライバーのことです。
F1は時速300km以上のスピードでレースを行います。
ちょっとした判断ミスが、命に関わるような大事故を引き起こします。
そういう危険なレースの中で、相手よりも早くゴールするというスポーツですから
ドライバーは子供のころから多くの専門的なトレーニングを行います。
習うより慣れろでは平均的な能力を習得することは出来るかもしれません。
でも、あなたが目指しているのはそこではありませんよね?
「誰よりもいい曲を作り、演奏し、多くの人々を感動させたい」
こういう目標を持たれていると思います。
そのためには難しい理論を覚えたり、もっと厳しい課題を自分に与えたり
専門的なトレーニングを積む必要があるのです。
ひたすら曲を作っていくだけで、曲のクオリティが上がるという根拠は何でしょうか?
特に何もないんですよね。ただ、曲作りに慣れるだけです。
少し厳しい言い方になりますが、乏しい感性の持ち主が一定の知識量のままで作曲を続けても、
いい曲など作れるようには絶対になりません。
私の経験でも、全くといっていいほど上がりませんでした。
大切なのは曲を量産することではありません。実力を伸ばす正しい努力を行うことです。
コード進行が手癖では作曲の力は上がらない
努力を怠って曲を量産しても、ワンパターンな曲になるでしょう。
その原因はコード進行にあるかもしれません。
コード進行がいつも同じという人は少なくないでしょう。
その原因は、ピアノやギターでコード進行を弾くときに
『手癖』になっていることにあります。
手癖の原因は、「感性」と「技術」と「知識不足」の3つがあります。
1つずつ解説します。
感性が原因で手癖になるパターン
感性というのは、手癖になる最大の原因かもしれませんね。
要するに、好きなコード進行ばかり弾いてしまっているということです。
実際、作曲や編曲を行ってみればわかりますが、
自分が好きなコード進行だけで曲を作るのは困難です。
何曲か作ることは出来ても長くは続きません。次第にワンパターンになります。
重要なのは、コード進行は好き嫌い関係なく学ぶということです。
「このコードの後にはこのコードに進ませることができる」
好きや嫌いといった、感情を抜きにして学ぶことが大切です。
技術が原因で手癖になるパターン
ピアノでもギターでも同じですが、押さえるのが難しいコードを
避けているのが原因で、次第に手癖になっていくのです。
ピアノなら黒鍵が多くて、押さえづらい。
ギターなら指の動きが複雑で押さえづらい。
一生懸命練習して、弾けないコードを弾けるようにしなければ、いつまで経っても成長しません。
知識不足が原因で手癖になるパターン
音楽理論を学ばないと、新しいコード理論は身に付きません。
難しい音楽理論が理解できず、避けていませんか?
そうしている限り、大きな成長は見込めません。
新たなコード進行パターンを覚える。
美しいコード進行を作るための理論を身に付けること。
こういった努力を行わないと、手癖から抜け出せずに苦労するでしょう。
曲を量産するより一曲に力を注ぐべき
優れた曲を作るためには何をしたらいいのでしょうか?
主に以下の3つがあります。
・今まで学んだことがない理論を学ぶ ・プロが作った楽曲の分析を大量に行う ・様々な楽器に触れてみる |
先ほどの手癖の解消法も参考にしながら、努力してみてください。
実際に作曲することも重要です。実践を軽視してはいけません。
「曲を作るべきではない」といっているのではありません。
量産しても意味がないと言っているのです。
クラシックの名作曲家であるブラームスは「交響曲第1番」を
着想から完成までに21年という時間を費やしました。
21年間ずっとこの曲のことを考えていたわけではありませんが、
自分が納得できる曲を作る力と自信がなかったのではないかと思います。
だからこそ、時間と労力をかけて名曲を作り上げたのだと推察しています。
私はブラームスの交響曲第1番がクラシックの中で最も好きな曲です。
クラシックという枠を超えても、トップ3に入るぐらい好きな曲です。
才能ある作曲家が時間と労力をかけて作り上げたからこそ、
このような後世に語り継ぐべき名曲が生まれたのです。
まとめ
・曲を量産しても作曲の力は上がらない ・コード進行の手癖を直す ・今まで学んだことがない理論を学ぶ ・楽曲の分析を大量に行う ・様々な楽器に触れてみる |
今までの自分の作曲活動を振り返ってみましょう。
何か心当たりがあるのではないでしょうか?
短時間で実力を伸ばすことは難しいです。
正しい努力を継続して行うことで、成長していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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