今回はaメロ、bメロ、そしてサビの作り方について解説します。
コード進行の選び方や編曲のポイントがいくつかあるので紹介します。
aメロからbメロへの進行が上手くつながらないという悩みもあると思いますので、
そのあたりのやり方も教えていきます。
プロの曲を例に挙げると分かりやすいと思いますので、
知名度が高いヒット曲を中心に解説していきます。
aメロのコード進行の作り方
コード進行の正しい作り方というものは存在しないので、
aメロのコード進行も「こう作らないといけない」というルールはありません。
自由に作って全く問題ありませんが、自由に作れといわれると
逆にどうしたらいいのか分からなくなる人がいます。
注意する点は、イントロの最後のコードとaメロの最初のコードの関係、
aメロの最後のコードとbメロの最初のコードの関係は重要です。
音楽は流れがありますので、その流れを意識しながら曲を作る必要があります。
aメロからbメロへの進行が上手くつながらないという
悩みを抱える人は多いと思います。私も同じ悩みを抱えていました。
その悩みを解決するカギは「完結形」と「継続形」という概念です。
私が作った言葉なので、一般に使われてはいません。
「完結形」というのは、いったんフレーズを終結させることです。
例えば、aメロのコード進行で IIm7→V7→Iを使えば完結形になります。
そして、仕切り直す形でbメロが始まるという感じです。
一方、「継続形」はaメロの最後をIIm7→V7で保留させておきます。
そうすることで、bメロへは流れを途絶えさせずに進行させることができます。
曲を作るときに、どちらが良いのかをよく考えて作ることが大切です。
メロディーを作る際に、aメロからbメロが上手くつながらないというのであれば、
「完結形」を「継続形」に変えたり、逆に「継続形」を「完結形」にすることで、
スムーズにつながることがあります。
これはメロディーでもコード進行でも使えるテクニックなので、覚えておきましょう。
プロの曲のaメロのコード進行
ここからはプロが作った曲のaメロのコード進行を紹介します。
※ディグリーネームで表記します。
あいみょん「マリーゴールド」(Key in D)
I→Ⅴ on VII→VIm→Ⅴ→IVM7→I on III→IVM7→[Ⅴsus4→V]
Iから始まるコード進行は、aメロに限らず多いです。
主和音ということもあり、使いやすいのでしょう。
マリーゴールドの最初の4小節は、カノン進行になっています。
[Ⅴsus4→V]のように括弧でくくられているコード進行は、
1小節を2つのコードに分けている意味を表しています。
米津玄師「Lemon」(Key in B)
VIm→V→IV→I→IV→I→IV#mb5→III7→
VIm→V→IV→I→IV→I→ IV→ I
LemonのaメロはVImから始まっています。
Iと同じトニックではありますが、少し落ち着きがあるコードです。
マリーゴールドのように明るい曲ならば、カラっと明るいIを使う方がいいですが、
Lemonの場合にはIはあまり合いません。
IV#mb5→III7→VImはセカンダリードミナントが使われています。
III7→VImはKey in CならばE7→Amという進行になっています。
その前の IV#mb5というコードが分かりづらいですね。
平行調からの借用和音という考えが分かりやすいでしょう。
Key in Cに置き換えて説明します。Key in Cの平行調はKey in Amです。
短調には三つのスケールがあり、それぞれのスケールの基づくダイアトニックコードがあります。
今回のケースはKey in Amのメロディックマイナースケールに基づくコードの、
VI#mb5→V7→Im(F#mb5→E7→Am)という進行になっています。
セカンダリードミナントをツーファイブに分けられることを知っていても、
IIm7のところにIやIVやVI#mb5が使えることを知っている人は少ないです。
頻繁に使われるコード進行ではありませんが、覚えておくといいでしょう。
他の曲のaメロのコード進行も見てみましょう。
Mr.Children「Tomorrow never knows」 (Key in C)
IVM7→Ⅴ on ⅤII→IIIm7→IV add9→IVM7→Ⅴ on ⅤII→VIm9
Pefume「チョコレイトディスコ」(Key in Eb)
IIm7→IIm7→V7→ VIm7の繰り返し
「Tomorrow never knows」と「チョコレイトディスコ」は
aメロをサブドミナントから始めていますね。やや珍しいですが、全く問題ありません。
aメロの編曲は落ち着かせる
編曲というのは曲全体の構成を考えながら、作る必要があります。
aメロだけの編曲を考えていてはいけないということです。
イントロが盛り上がってaメロに進む場合もあれば、
イントロは落ち着いた雰囲気で、その流れでaメロに進むこともあります。
aメロの編曲の考え方はさほど難しくありません。
どういう曲の構成でも、aメロの編曲は落ち着いたものにするのが普通です。
楽器の数は最小限にして、後から音を加えていくのです。
aメロは8小節×2になっていることがあります。
前半と後半のaメロを、aとa'のように表記することがあります。
aとa'でコード進行を変えることはほとんどありません。
ただし、a'の最後の部分、bメロにつながる部分だけを変えることはあります。
a→a'と継続させるときの編曲のポイントは、
aはあえて音数を少なくして、a'に入ったときに音を加えることです。
これによって曲が盛り上がっていく感じが出てきます。
例えば、aのドラムはキックだけにしておいて、
a'に入ったらハイハットとスネアを加えるといった編曲です。
AKB48のポニーテールとシュシュで、この編曲テクニックが使われています。
これは必要不可欠な編曲テクニックなので、必ず習得してください。
bメロのコード進行は前後との関係が重要
b メロのコード進行 も自由に作って構いません。
ただし、イントロ→aメロからの流れあるので、そこを意識することは必要です。
同じような雰囲気にならないように、コード進行は変えたほうがいいです。
マリーゴールドのaメロは
I→Ⅴ on VII→VIm→Ⅴ→IVM7→I on III→IVM7→[Ⅴsus4→V]
というコード進行でした。
その流れを引き継いだbメロのコード進行は
VIm→I on III→IV→Ⅴ
というコード進行です。
VImから始めているのがポイントですね。4小節と短くしているのも参考になります。
リスナーの立場から見た場合、サビのメロディーを早く聴かせてほしいという気持ちがありますので、
サビにたどり着くまでの時間が長い構成は、あまり良い曲の構成とは言えません。
そういう場合には、このマリーゴールドのように4小節で切り上げ、サビに進ませるのがいいでしょう。
米津玄師のLemonのaメロのコード進行は
VIm→V→IV→I→IV→I→IV#mb5→III7→
VIm→V→IV→I→IV→I→ IV→ I
になっているのに対して、bメロのコード進行は
IIm→VIm→V→I→IIm→VIm→IV→Ⅴ→I
になっています。
aメロはトニックであるVImから始め、bメロはサブドミナントであるIImから始めています。
この辺りを参考にするといいです。
bメロは、aメロとの関係も重要ですが、サビとの関係も重要です。
aメロとサビに挟まれている存在で、ブリッジとも呼ばれています。
先ほど紹介した、「継続形」か「完結形」のどちらを使うのかはよく考えたほうがいいです。
なぜなら、サビはその曲の一番重要なパートであり、
サビがどのように始まるかは、bメロの最後の部分がカギを握っているからです。
「継続形」か「完結形」かを選ぶときの注意点があります。
「イントロ→aメロ」「aメロ→bメロ」「bメロ→サビ」の全てが完結形だと
曲が流れていかないので、曲のクオリティが下がります。そこだけは特に注意してください。
bメロの編曲はサビに向かって盛り上げる
bメロの編曲のポイントはいくつかあります。
リズムを緩めることが多いです。
もちろんすべての曲に当てはまるわけではありませんが、
8ビートだったリズムが、ハーフタイムフィールに変わることがあります。
bメロの前半で少し緩めて、サビに向かって徐々に盛り上げていく
というイメージを持つといいのではないでしょうか。
bメロでは、aメロには出てこなかった音色を出すのがおススメです。
どの場面にも言えることですが、ずっと同じ楽器が鳴り続けている曲は、
退屈で単調な印象をリスナーに与えてしまいます。
サビのコード進行の組み立て方
サビに関してもコード進行は自由に作って構いません。
意識することは、やはりそれまでの流れを引き継ぎ、盛り上げることです。
JPOPに関しては、IやIVM7(IV)から始まるコード進行が多いと思います。
マリーゴールドのサビのコード進行は
I add9→Ⅴ on VII→VIm→[Ⅴsus4→Ⅴ]→
IV→[I on III →VIm]→IV→Ⅴ→I
bメロのコード進行はVIm→I on III→IV→Ⅴでした。
bメロの最後のコードがⅤで、サビの最初のコードがI add9ですので、これは継続形になっています。
bメロの流れを引き継ぎ、スムーズにサビに進行しています。
米津玄師のLemonのサビのコード進行は
IV→I→V→VIm→IV→I→V→III7→
IV→I→ⅤIIm7♭5→ III7→VIm→IV→V→
#IVm7b5→IIm→VIm→IV→V→I
になっています。
bメロのコード進行は
IIm→VIm→V→I→IIm→VIm→IV→Ⅴ→Iです。
bメロの最後のコードはIで、サビの最初のコードはIVです。
サビの最初のコードは関係なく、bメロの最後のコードがIV→V→Iですので、
完結形になっているのが分かります。
いったんbメロでフレーズを完結させ、仕切り直す形でサビに進んでいます。
サビの編曲は派手に盛り上げる
ほとんどの曲はサビを派手に盛り上げます。
一番重要なパートですので、当然といえば当然のことです。
では、どうすればサビを盛り上げられるのでしょうか?
サビのメロディーが一定のクオリティ以上である前提で話をします。
メロディーの力が弱すぎると、どんなに編曲を頑張ってもサビは盛り上がりません。
まずはドラムから考えてみましょう。
スネアやキックの数を増やすだけで盛り上げることができます。
手数を増やすということは、単純に音の数が多くなり盛り上がった雰囲気を出すことができます。
クローズハイハットをオープンハイハットに変えてみるとか、
クラッシュシンバルを多用する、フィルインを作りこむといった編曲をしっかりと行うことで、
サビを盛り上げることができます。
音数を増やすということは、ドラムに限った話ではありません。
ピアノやギターなども同じです。2分音符や全音符ではなく、もっと短い音符を使うのでいいでしょう。
もちろん役割分担させるのもいいです。
つまり、2本のギターを鳴らすのであれば、1本は長い音符で鳴らし、
もう1本は短い音符でリズムを刻むフレーズにするというのもいいです。
後は全体のバランスを見ていきましょう。
高音域が足りていないと思ったら、ストリングスを入れるのもいいです。
歌のメロディーをハモらせることも大事なことです。
このような編曲でサビを盛り上げてみてください。
今回はaメロ、bメロ、そしてサビの作り方について解説しました。
いくつか参考になる点があったのではないでしょうか?
サビだけが上手に作れても、aメロやbメロの出来が悪いと名曲とは言えません。
真に優れた曲は、曲の最初から最後まであらゆる部分までしっかりと作りこまれているのです。
妥協することなく作曲することが大切です、
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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