編曲家というのは作曲家と比べて知名度も低く
どういう仕事をしているのかもあまり知られていないため、
勉強法もなかなか分からず苦労されている方もいると思います。
そこで今回は、編曲のやり方を覚えるのに効果的な4つの勉強法を紹介します。
この記事で紹介している勉強法を実践すれば、実力が伸びることは間違いありません!!
編曲の基礎知識 作曲との違いは?
ポピュラー音楽の世界における作曲と編曲の違いは
作曲とは歌のメロディーとそれにコードをつけること
編曲とはそれにピアノやドラムなどの伴奏を加えていくこと
おおまかにいうとこういうことです。
実際には編曲家は楽曲の構成を考えたり
イントロや間奏、Dメロやアウトロまで作る役割があります。
ただ綺麗な伴奏のフレーズを作るだけでなく
リスナーを飽きさせないように様々な工夫を施す必要があります。
編曲家が学ぶことをぱっと思いついた範囲で紹介すると
・様々な楽器の特徴と構造を学ぶ
・エフェクトやシンセサイザーの使い方を学ぶ
・リスナーを飽きさせない楽曲の構成を学ぶ
・イントロや間奏、Dメロやアウトロの伴奏を考える
といったものがあります。
場合によっては作曲家が作ったコード進行に
手を加えることもあるでしょう。
「様々な楽器のことを学ぶ」と一言でかかれていますが
ピアノやドラム、ギター、ベース、シンセ、打楽器を学ぶのは当然で
オーケストラを使うのであれば
・フルートやクラリネットなどの木管楽器
・トランペットやトロンボーンなどの金管楽器
・バイオリンやビオラなどの弦楽器
他にも様々な楽器が存在しています。
これら全ての音域や特徴、よく使われるフレーズを
日々、研究する必要があるのです。
実に様々なことを学ぶ必要性があるにもかかわらず
具体的な編曲の学習法を教わってきた人は少ないと思います。
そこで今回は偉大な作曲家たちが行ってきた学習法と
私が編み出した学習法を紹介するので是非参考にしてください。
編曲の勉強① 楽譜を写し取る『写譜』という学習法
DTMが主流になったことで楽譜を書いたり読んだりすることの
重要性が失われています。
それでもいい曲が作れているのであればいいのですが
実際は残念ながら音楽業界は衰退しています。
どんなに優れた機材やソフトがあっても本人の才能と努力が
なければ良い曲は絶対に生まれません。
ですので、テクノロジーが発展する前の時代の作曲家が
行ってきた写譜という学習法を試してみましょう。
写譜というのは、作曲家の自筆の読み辛い楽譜を清書することをいいます。
ただし、ここでの写譜はそういう意味ではありません。
作曲家を目指す人たちが偉大な作曲家の楽譜を購入し
それを丁寧に写し取って学ぶことをいいます。
ただ無心で写し取るのではなく、一つ一つの音に
どのような意味があるのかを考えながら写していくのです。
意味が分からない記号や言葉が出てきたら調べましょう。
楽譜を写し取るだけではなく、楽譜を見て学ぶことも大切ですので
曲を聴きながら、購入した楽譜や自分で写譜した楽譜を見て学びましょう。
写譜は手書きではなく楽譜作成ソフトを使用するのがいいでしょう。
Finare(フィナーレ)や私も愛用しているSibelius(シベリウス)が有名です。
ソフトを使用すると音を確認することが出来る利点があります。
例えばドラムとベースだけを聴く、ということもできます。
編曲家はあらゆる楽器の特徴を覚える必要がありますので
各楽器の教則本を写譜することもおすすめします。
多くの場合、教則本には音源が付いていますので
気に入ったフレーズを写譜してみましょう。
写譜したフレーズだけの音源をDAWソフトで編集して
作ると効率よく学ぶことが出来ます。
【編曲初心者シリーズ1】上手なピアノ伴奏を作るには右手と左手と関係が大切
編曲の勉強② プロが作った曲を分析する
作曲家や編曲家の勉強法で最も大切なのが
プロが作った曲を聴いて分析することです。
プロの作曲家たちが作った曲の中には彼らが長年多くの努力を
積み重ねて得た知識や磨かれたセンスが凝縮されているのです。
それらの楽曲を徹底的に研究することによって、大きな力になるのです。
楽曲を分析する際の音楽の聴き方と
純粋に音楽を楽しむための聴き方とは大きな違いがあります。
分析する場合は、曲を最初から最後まで聴く必要はありませんし
同じ箇所を何度も繰り返し聴くこともあります。
ベースラインが聞き取りづらいときにはEQで補正をすることもあります。
静かな環境で出来るだけ良いヘッドホンを使用し
少しの音も聞き逃さないように集中して研究を進めていきます。
2~3曲程度分析しただけで音楽のことを分かった気になってはいけません。
毎日継続して行い、膨大の量の楽曲を分析することが大切です。
何か発見したり思いついたことがあれば、どんどんノートに記しましょう。
これは私の個人的な意見ですが
本格的にプロを目指し始めたら一旦幅広いジャンルの曲を
聴くのを止めたほうがいいです。
自分が目指す音楽と近いジャンルの曲を集めて
それらを徹底的に研究、分析するのがいいでしょう。
私の経験上、そのほうが成長するスピードがはるかに速かったです。
JPOPの曲を作りたいと思っているにもかかわらず
クラシックやジャズの曲を詳しく分析しても
あまり目立った成果は上がりません。
それよりも自分が作る音楽と近い楽曲を集めて
徹底的に研究&分析をしたほうがいいと思います。
ある程度自分が望む曲が作れるようになってきたら
音楽性の幅を広げるために他のジャンルの曲を聴いて分析しましょう。
私がプロの曲を分析している記事もあります。
編曲の勉強③ 耳コピで編曲と音感を同時に鍛える
耳コピとは曲を聴いてその曲をDAWなどで再現する学習法のことです。
プロの編曲を学ぶと同時に音感を鍛えられるので一石二鳥です。
耳コピのポイントは最初に主音を発見することです。
ポピュラー音楽に関してはほとんどの場合
サビのメロディーの最後の音が主音になっています。
※転調した楽曲は例外です。
主音を発見できればKeyが判別します。
主音がC(ド)だった場合はKe y in Cになるということです。
次にその調(Key)のダイアトニックコードを確認してノートに書きだしましょう。
そして、コード進行を知るためにはベース音を中心に聴きとります。
なぜならベースはほとんどの場合、そのコードのルート音を演奏するからです。
ただしクリシェのような分数コードに気を付けましょう。
あとは楽器を使いながら他のパートのフレーズをコピーしていきます。
音感を鍛える聴音とは何か?
聴音とは音感を身に付けるために、講師が演奏するピアノ曲(CDでも可)を聴いて
それを楽器を使わずに楽譜に記していく学習です。
リズムと音程を正確に捉える能力が問われます。
ソルフェージュともいいます。
主にクラシック音楽を学ぶときに聴音を行うことが多いですが、
他のジャンルの音楽にも必要な学習だと思います。
独学でも習得が可能で、聴音のCD付き書籍が
何冊が販売されているので関心があれば試してみましょう。
似たような学習に視唱があります。
これは聴音とは反対で楽譜を見てそれを正確なリズムと音程で歌う練習です。
正確なリズムと音程で歌えているかどうかは
自分で判断することは難しいので独学で習得するのは難しいと思います。
編曲の勉強④ 楽器を習ってみる
前述のとおり編曲家は多くの楽器の特徴を学ぶ必要があります。
本を読んで学ぶこともいいのですが
それだけではすべてを理解するのは難しいでしょう。
おすすめなのはその楽器を実際に弾いてみるということです。
ポピュラー音楽の場合ならピアノ、ギター(エレキとアコギ)
ベース、ドラムを一通り練習してみるといいでしょう。
各楽器の特徴を覚えることが目的ですので
プロのような演奏力を身に付ける必要は全くありません。
実際にその楽器に触れてみると本で学んだ知識では
理解できなかったことがたくさんあることに気が付けます。
一年間を3~4分割して楽器を習うのもいいでしょう。
・最初の4ヶ月はピアノを
・次の4ヶ月はドラムを
・次の4ヶ月はギターを
それぞれ習うということです。
3~4ヶ月くらい習えばその楽器の特徴をある程度は理解できると思います。
一流の演奏家の動画を見るのもいい勉強になります。
Youtubeなどで公開されていますので見てみましょう。
下の動画は川口千里さんのドラム演奏です。動画で学べるのはありがたいですよね。
ちなみに私はピアノとエレキギターとドラムを同時に習ったことがあります。
一週間に3つのレッスンがありなかなか大変でしたが、いい経験になりました。
音楽教室へ通うことを検討されているのであれば、
『EYS音楽教室』がおすすめです。
楽器が無料でもらえますし、偉そうな講師もいません。
異性との出会いの場も用意されていますよ。
最後のひとこと
今回は編曲に興味を持ったあなたに
私が身に付けた知識や経験の一部を紹介しました。
編曲というのは奥が深く極めて重要な役割を担っています。
その割には学習法が確立しておらず、私もずいぶん苦労しました。
それでも毎日粘り強く学習を続けていき
成長を感じられるようになると楽しくてたまりませんでした。
自分の思い通りの楽曲が出来上がった時の快感は最高ですよね 😆
編曲の学習は大変ですぐに結果が出るものではありませんが
正しい方法で粘り強く学習すれば必ず結果が表れます。
あなたも自分の理想の音楽があると思います。
その音楽を完成させるためには大きな困難が待ち構えていますが
恐れることなく継続して努力して乗り越えましょう。
▶今までに投稿した『JPOP編曲講座』の記事はこちらから読めます。
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