米津玄師『orion』レビュー|良曲だが終わり方に課題

今回は米津玄師の『orion』のレビューを行います。

orionはNHKで放送された3月のライオンのエンディングテーマに起用された曲です。
2017年にリリースされた曲です。それではさっそくレビューをしていきます。

米津玄師『orion』

作詞・作曲: 米津玄師 編曲:米津玄師 蔦谷好位置

イントロはエフェクトを使ったエレキギターのフレーズです。
幻想的な雰囲気が出ていて、
期待を持たせてくれる印象を持ちましたが、
わずか4小節で突然終えてしまいます。
もう少し長めのイントロにしても良かったと思います。

Aメロの歌のメロディーは及第点。

アレンジは良いですね。
特にストリングスのフレーズが聴いていて心地よいです。
リズム隊も良い働きをしています。
フレーズもいいですし、適切な音色が使われていて、聴いていて心地よいです。
バランスが非常にいいです。

最初のAメロは少し押さえ目にするのがアレンジの基本です。
この曲はその点もしっかりと作られていて問題ありません。

Aメロを繰り返す際にはグロッケンの音で、少し彩りを与えていて良いです。
繰り返しのAメロではミュートのギターを入れていますが、変化が乏しいですね。
ストリングスのフレーズと一部重複させているので、埋もれている感じがします。

Bメロはいまいちですね。コード進行がAメロとまったく同じなんですよね。
(A♭ - B♭ - E♭ - Cmの繰り返し) ですから雰囲気がまったく変わりませんし、
ストリングスのフレーズもAメロから
ずっと続いているので曲が展開している感じがまったくしません。

おそらく意図してこのようなアレンジにしたのでしょうが、上手くいっていません。
平坦さが増していて、退屈なBメロになっています。

ハイハットの刻みのフレーズはまずまず良いです。
途中からエレピが入っていますが、
白玉のフレーズなので寂しいですね。
もう少ししっかりと作るべきです。

サビに入る前に4小節加えられていますが、これも意図がよくわかりません。
Bメロからサビへは自然な流れが入って行き盛り上げたいところですが、
小休止しているのでサビの冒頭がいまいち盛り上がらないのです。

サビに入る前にブレイクが使われています。
米津玄師さんの曲はブレイクの使い方に
課題があり、Lemonやアイネクライネでも失敗しています。
この曲のこの場面では使ってもいいのですが、
その前に小休止しているので
入れる必要があるのかが疑問です。
ブレイクはこの後に何度も使われているので、ここでは控えたほうがいいでしょう。

ブレイクは1曲に何度も使うものではありません。要所で使うからこそ効果を発揮します。

(0:59)
サビのメロディーはなかなかカッコイイですね。

アレンジですが、エレピとベースが2分音符を使った白玉のフレーズになっています。
意図して使っているのでしょうが、やや単調の感じもします。
曲調を考慮すると、ベースラインは8分音符で刻むフレーズは合わないでしょうが、
しっかりと作りこんだ方が良かったと思いますね。

ストリングスはフレーズを変えてはいますが、
8分音符を使ったフレーズでイントロや
A、Bメロで使われたフレーズと似ています。
これも単調さを生み出します。

それまでは短い音符を使っていたのであれば、サビでは長い音符を使った
フレーズに
変えたほうが明らかにいいです。
音域も、もう少し高い音を使えば華やかさが出ると思います。

Aメロに戻る際にもブレイクが使われています。

(1:30)
2回目のAメロは1回目と同じではなく、アレンジに変化をさせるのが基本です。
この曲ではドラムの手数を増やしていますね。
これだけですが、十分でしょう。
それ以降は特に変わった点はありません。

(2:42)
エレキギターにモジュレーション系のエフェクト(トレモロ)をかけたフレーズが出てきます。
曲の中盤以降には、今までに出てこなかった音色を出すのが効果的です。

エレピとベースはここでも2分音符のフレーズですね。やはりいまいちです。
ストリングスのフレーズも曲に合っているのですが、
ずっと似たようなフレーズが使われて
いるので、飽きてしまいます。
ここでは違うフレーズを用意するか、ここで使うのであれば
その前に使用するのを控えたほうがいいです。

Dメロの出来は悪いです。歌のメロディーが良くありません。
Dメロはそれまでの世界観を壊さぬように新しい展開を繰り広げていくのですが、
この曲は世界観を壊してはいませんが、単純にメロディーが美しくありません。

(3:10)
後半、アレンジを少し緩めて静かな雰囲気を作っています。
これはいいですね。
SEの音色は曲の世界観に合っていて、非常に美しいです。

ストリングスのフレーズなどが徐々にクレッシェンドで音量を上げて行き、
最後のサビに対する期待感を高められています。これも上手です。
サビに入る前にブレイクが使われていますが、クレッシェンドで音量を高めておいて、
そしてブレイクさせているので効果が倍増しています。これは非常に上手です。

このブレイクを際立たせるために、他の部分ではブレイクを使わないほうがいいです。
そうすると、ここのブレイクが強調され、より強い効果が発揮されるのです。

(3:37)
最後のサビは前のサビの繰り返しではなく、変化を与えます。
この曲では後半にフレーズを加えています。及第点ですね。

アウトロはストリングスとドラムのフレーズを抜いて、静かな雰囲気を作っています。
そして、歪み系のエレキギターのフレーズとSEを目立たせることに成功しています。
幻想的で退廃的な世界観になり、非常に良いと思います。

ただし、曲の終え方が悪いです。なぜ、キメフレーズを使うのでしょうか。
キメフレーズは、ビシッと曲を締める効果がありますが、
この曲のアウトロは
徐々に退廃的な雰囲気になり、静かに終えていく方が圧倒的に合っています。

この辺りのセンスもいまいちですね。

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米津玄師『orion』の総評

ストリングスやエレキギター、SEなどを上手に、
独特の世界観が表現できていて
非常に良かったと思います。
サビのメロディーもなかなかカッコよかったです。

アレンジにはいくつか難がありました。ブレイクに関しては他の記事でも書いたので、
詳しく述べませんが、多用せずに要所で使うと効果が高まります。

ストリングスのフレーズも非常に良いのですが、多用しすぎですね。
1曲の中に何度も出すと新鮮味が薄まり、単調さが生まれます。
そのフレーズをどんなに気に入ったとしても、使うべき所を見極める必要があります。

このあたりは編曲の勉強をされている方は参考にするといいでしょう。

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