『作りながら覚える 3日で作曲入門』は本当に3日で作れる!

今回は『作りながら覚える 3日で作曲入門』
著者: monaca:factory(10日P )をレビューしていきます。
レビューの記事は、主にDTMで作曲や編曲を行う方向けに書いています。

『作りながら覚える 3日で作曲入門』のレビュー

作曲を行うときに最初に考え付くのが「理論を学ぶ」だと思います。
しかし、その理論が理解できず作曲を挫折してしまう人は少なくありません。
本書はそんな挫折を経験した人にはぴったりの作曲入門書といえるのでしょう。

CD-ROMが付属されており、その中にDominoとGaragebandという2つの作曲ソフトが入っています。
そのソフトを使いながら、実際に曲を、しかも3日で作ってしまおうという趣旨です。

Windowsを使っている方はDominoを、Macを使われている方は
Garagebandを使って曲を作っていくのです。
ソフトをインストールする方法から基本操作まで解説されているので、
パソコンの操作が苦手な方でも安心して学べます。

小難しい理論を学ぶのを後回しにする。むしろ、曲を作ってから(作りながら)
理論を学んだほうが理解が深まるという考えを持たれているようです。

他の理論書とは決定的に異なる価値を持っていますね。

楽譜の読み方やリズムの取り方も解説されています。
それほど丁寧に解説されているわけではないので注意が必要です。
このあたりの知識はネットなどでも得られるので、
調べながら本書を読み進めることは十分に可能です。

8ビートの打ち込みから王道進行を使ったコード進行。
かなり初歩的な内容ですから、全くの初心者には分かりやすく、
それ以上のレベルの人には物足りない内容ですね。

サンプル楽曲が10曲掲載されていますので、複数のコード進行パターンを学ぶことも出来ます。
楽譜はありませんが、音源が付いていますので、耳で聴いて響きを覚えていきます。

ドラムやベースやピアノの解説もされていますので、作曲だけでなく編曲も学べます。
というよりも全体を通して編曲の内容の方が多いですね。

イントロからサビまで3日かけて作ります。
曲を作る、作り上げることの喜びを与えてくれる内容です。

『作りながら覚える 3日で作曲入門』は楽譜は乏しい

ソフトを使って作曲することを目的としていますので、楽譜は皆無に等しいです。
ただし、ピアノロールに音名が付けられているので、まずまず理解しやすいです。
イラストや鍵盤図も充実しているので、文章だらけの理論書と違い、
初心者でも理解を深めることは十分に可能です。

本書は当然、Key in C(ハ長調)で解説されていますが、
ディグリーネームことも掲載されていますので、
本書で覚えたコード進行を他の調にも応用させることが出来ます。

インストール方法やピアノロールを使った打ち込みを解説するときにも、
画像が使われていますので理解しやすいです。

3日で作る曲はチープな感じですが、フリーのソフトを使っているので致し方ないでしょう。
本書で作曲の魅力を知ったら、少しずつ性能が高いソフトを揃えていきましょう。

 

『作りながら覚える3日で作曲入門』は初心者向け

本書は作曲初心者向けですね。作曲だけでなく編曲の初心者にも向いています。

すでにCubaseなどで曲を作られている方にとっては、得られるものはさほど多くないでしょう。

理論の勉強が苦手で、実践から作曲のことを学びたいという人に向いています。
いずれ理論の勉強は必要になってきますが、まずは曲を作ることの楽しさを知ることが大切です。

インストールなどパソコンの操作が苦手な方でも安心です。
画像を使って丁寧に解説されているので、同じように設定すればソフトを使いこなせるでしょう。

最後のひとこと

良書ですね。理論を後回しにして実践を重視するやり方は非常におすすめできます。

理論のことを触れてないわけではありませんが、実践を通して学ぶということですので、
理論を理解できずに挫折するということはないでしょう。

余談ですが、私が作曲を始めたときもローランドのソフトで、
カーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」の打ち込みから始めました。
楽譜が付いていてドラムの打ち込みやギターのチョーキングのやり方なども詳しく解説されていました。
その経験が非常に楽しく、今でもよく覚えています。

ピアノに興味を持った子にハノンやツェルニーばかりやらせて
「ピアノ嫌い」を増やすピアノ講師も、本書から「教育」を学んでみてはいかがでしょうか。
基礎が大事だからといって、基礎練習ばかりやらせて挫折させてしまっては元も子もありません。

音楽の魅力を知ることで学習する意欲も自然と湧いてくるのです。
そのことに改めて気づかせてくれた一冊でした。

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