伴奏の王道ともいえるピアノ伴奏。
特にしっとりとしたバラードではピアノ伴奏は
必須ともいえるくらい重要な存在といえます。
それだけ重要な存在にもかかわらず、伴奏の作り方を
解説されている書籍などは非常に少ないと思います。
そこで今回は初心者の方のために主にポピュラー音楽で使用される
ピアノの伴奏の作り方を解説したいと思います。
ピアノ伴奏のコツ 共通音を保留させるのかさせないのか
ピアノ伴奏というのは歌をサポートするという役割があります。
歌をしっかり支えると同時に歌よりも目立ってはいけないという絶妙なバランスが問われます。
伴奏が落ち着きがなくバタバタしているとそれが気になり歌を集中して聴くことが出来なくなります。
それを避けるためにそのコードと後続のコードに共通音がある場合はそれを保留します。
それでは共通音がない場合はどうするのでしょうか?
ポピュラー音楽では自由に進行させていいのですがここで和声学の知識を紹介したいと思います。
IV - Ⅴのように共通音が存在しない場合は最低音のバスと上3和声を反行させるのが自然な響きになるといわれています。
上3和声というのはピアノ伴奏でいうと右手で弾く和音のことです。
右手の和音が下行するなら左手のバスを上行させるということです。
ポピュラー音楽に関してはこれらの規則にとらわれる必要はありませんが、
知識としてこのような進行があるということは知っておくといいでしょう。
両方知っておけば、その場面に応じて使い分けをすることも出来ます。
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ピアノ伴奏の基本、4分打ちを覚えよう
バラードなどでもっともよく用いられる4分打ちです。
簡単そうに見えますが注意しなければいけない点もあります。そこから解説していきます。
4分の4拍子の曲の中にはいわゆる表の拍と裏拍があります。
1と2と3と4と、分けた場合『1.2.3.4』が表の拍で『と』が裏拍になります。
右手と左手のタイミングが大きな鍵を握っているのです。
1拍目とコードが変わるときは右手と左手は合わせて弾き、それ以外はずらして弾くのです。
4分打ちの場合は右手のコードは『1.2.3.4』で弾き、
左手は1拍目とコードが変わるとき以外は裏拍で弾くということです。
左手の音はRとP5を中心に作ります。Rは根音のことでP5は完全5度のことです。
CというコードならRがド、P5がソになります。
下の譜面は単音で弾いてますがオクターブにしてもいいでしょう。
4分打ちだけだと淡白に感じますので少しフレーズを加えてみましょう。
ポイントは今のコードのトップノートを次のコードのトップノートに
順次進行でつなげることです。
最初の小節はFで4拍目の裏拍のドが次のコードのBbのトップノートである
シbに順次進行でつなげられています。
他の小節も同じような考え方でフレーズが作られています。参考にしてみてください。
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続いては8分音符を絡めたフレーズです。そのコードのコードトーンを分割して演奏していくのです。
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アルペジオとは分散和音のことで主に単音で上行したり下行したり色々と動きます。
上の譜面はアルペジオの上行させたフレーズでテンションノートである9thを加えています。
このようなアルペジオのフレーズはペダルの使い方が大切です。
ピアノのペダルは3種類あるのですが、ここでは最もよく使われるサステインペダルのことを指します。
サステインペダルを踏んだままだと鍵盤から指を離しても前の音が鳴り続けるのです。
注意すべきは3小節目のAm add9です。
Am add9はAmのラ・ド・ミに9thのシを加えたコードです。
ペダルを踏みっぱなしだと2拍目のシとドが短2度でぶつかり濁った響きになります。
ペダルは上手に扱うと綺麗な響きが作れますが、
扱いを間違えると濁った響きが生じるので気をつけましょう。
次は長い音符を用いたフレーズです。
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1拍目以外は右手と左手の音がずれているところに注目してください。
コードとアルペジオの組み合わせたフレーズもあります。
続いてもコードとアルペジオを交えたフレーズです。
このフレーズは一部右手と左手が重なる部分がありますが、
強調したい部分には重ねても問題ありません。
このフレーズは音数が多いのでAメロなどの静かな雰囲気にはあまり合いません。
少し盛り上げたいときに使うといいでしょう。
バラードの曲で静かなピアノ伴奏を求めている場合は、
基本的には右手と左手の音はずらしたほうがいいです。
アップテンポの曲などで激しい曲調ならば8分音符で
右手と左手を重ねて演奏してもまったく問題ありません。
ピアノ伴奏は耳に優しい中音域が好まれる
ピアノ伴奏で使われる音域は中音域が多いです。
なぜなら長時間聴いていても耳が疲れないという特徴があるからです。
中音域は真ん中のドの辺りの音域です。
高音域のピアノの音も非常に綺麗ですので使うのはいいのですが
あまりフレーズが長いと耳が疲れてしまうこともあります。
ですから、イントロやAメロだけにするとか
アルペジオにするなど工夫したほうがいいでしょう。
指定したコードの音を全て使わなければいけないということはありません。
Cというコードを付けたとしても。ドミソの全てを使わなくてもいいのです。
バラードのAメロでは静かな雰囲気で歌をじっくり聴かせたいということがあります。
こういう時には、少ない音でフレーズを作るアレンジが効果的です。
間奏後によく出てくる落ちサビ(静かなサビ)でも同様のことが言えます。
ピアノ伴奏に限った話ではありませんが
伴奏のフレーズを作るときにはメロディー(主旋律)との関係に気を付けてください。
伴奏だけを考えて、いいフレーズができたと思っても
主旋律を邪魔していることもあります。
あくまでも伴奏は脇役で、主役のメロディーを支えていかなければいけません。
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最後のひとこと
ピアノ伴奏は編曲の王道だと思います。
特にバラードでは必要不可欠といえるくらいよく使われます。
それだけ重要な存在ですから、ただ弾いてみてよかったフレーズを
使用するのではなく、論理的に考えてみましょう。
考えてみたら今よりもっといいフレーズが出来るということは珍しくありません。
今回はピアノ伴奏の基本として、主に右手と左手の関係性について解説しました。
ピアノ伴奏はもっと奥が深くてドラムのパラディドルを応用した
フレーズなどもあるので興味がある方はもっと研究してみましょう。
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