今回はDメロについての解説を行います。
Dメロは大サビとも呼ばれることがあります。
Dメロは決められた場所に出てくるのではありませんが、
2回目のサビを終えた後や間奏の前後に多く出てきます。
曲によってDメロの場所は異なりますし、省略されることもあります。
一方でどの曲にも共通して言えるのは、
『Dメロにはそれまで1度も出てきていないメロディを使う』
ということです。
具体的な曲を挙げながらDメロの作り方のコツを解説しますが
その前に少し理論的なことから説明したいと思います。
▶今までに投稿した『JPOP編曲講座』の記事はこちらから読めます。
Dメロのメロディーとコード進行
Dメロのコード進行について悩まれる方もいるとは思います。
「イントロとかAメロと同じコード進行にしたほうがいいんですか?」
このような疑問を抱かれる方もいるのですが
まったく関係ありませんので自由に作ってください。
世界観を逸脱させないためにコード進行を合わせようと
考えるらしいのですが、ほとんど関係ないと思います。
むしろDメロというのは、冒頭にも述べたように
「今まで出てこなかったメロディー」を使うことになりますので、
そこまでの展開とは少し違った世界観を見せることが大切なのです。
コード進行も少し工夫を凝らしたり、転調させるのもいいと思います。
それまでの曲の流れや世界観を壊さずに、
新しいメロディーで盛り上げるのは簡単なことではありません。
しかし、多くの楽曲を研究することで次第にDメロにふさわしい
メロディーが作れるようになるでしょう。
間奏の作り方が分かりません!プロの曲からコツを学ぼう【編曲講座】
Dメロの編曲方法について
Dメロに限らず新しい展開に進んだときには今まで出てこなかった
新たなメロディーや楽器を使うということをおススメしたいと思います。
優れた楽曲というのはリスナーを飽きさせない工夫が
至るところに施されているのです。
ずっと同じような楽器の編成で曲が続いてしまうと
単調で平坦な曲になってしまいます。
もし同じ楽器を使うにしても、フレーズは変えたほうがいいでしょう。
エレキギターならばエフェクトを変えて音に変化を与えることで
新鮮さを生み出すことが出来ます。
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プロの曲を参考にDメロを分析する
Dメロを学ぶ上で欠かせないのがプロが作った曲を分析することです。
何曲か参考になる曲を挙げるので聴いてみてください。
伊藤由奈の『Precious』では2回目のサビの後に転調を絡めたストリングスの
短いつなぎのフレーズを経てDメロに入ります。
原曲は公式にアップロードされていないようなので
May J.さんがカバーした曲を紹介します。
May J.『Precious』
2:25~Dメロが入ります。その前から聴いて、サビからの流れを確認してください。
Dメロもサビと同様に派手なアレンジにすることがあり、
この曲もそういうアレンジになっています。
この曲のDメロのメロディーはそれまでの流れを引き継ぐだけに留まらず、
新しい展開で盛り上げることに成功しています。
その後に落ちサビで静かな雰囲気になります。
※落ちサビとは音数を減らした「静かなサビ」のことです。
華やかに盛り上がったDメロと静かな落ちサビとの
ギャップを大きくすることで曲の展開にメリハリがついて良いのです。
原曲のほうがアレンジは優れているので、そちらを聴いてみてください。
非常に美しいメロディーと展開になっているので
ぜひ、参考にしてみてください。
Olivia Newton-John (オリビア・ニュートン=ジョン )の
「Take Me Home, Country Roads」のDメロもなかなかいいですよ。
ジブリ映画の『耳をすませば』の冒頭で流れる曲と言えば
分かる人もいると思います。
この曲のDメロではそれまでの流れを切らさずに
新しいメロディーで上手に盛り上げることに成功しています。
編曲に関しては特別な工夫はされていませんが
違和感を与えずにDメロを作り上げられています。
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Mr.Children 『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』
※原曲とは少しアレンジが違います。
Mr.Children の『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』 では
2回目のサビの後にDメロに行くのですが
ここで一旦リズムを緩めてアレンジも抑えられています。
そして徐々に盛り上げていき間奏のソロフレーズで
テンションが最高潮に達するという展開になっています。
この曲もDメロ作る上での重要な要素が含まれているので
少し詳しく解説していきます。
Dメロや間奏というのは曲の中間あたりに出てくるものです。
そのときに気をつける点としては2点あります。
1点目はそれまでの流れを引き継ぐのかどうかということです。
2点目はその後の展開を予測し、最善のアレンジを行うということです。
1点目から解説します。
例えば、Dメロの前のリズムが8ビートだった場合、
Dメロもそのまま8ビートを続けるのかということです。
流れを引き継ぐのであればそのままのリズムでいいのですが
一旦リズムを緩めると単調さが薄まり、曲にメリハリが付くのです。
引き継ぐやりかたと引き継がないやりかた、
どちらが正しいという話ではありません。
その曲に合うのはどちらなのか、自分が表現したい曲には
どちらを選ぶのがいいのかをよく考える必要があるということです。
『シーソーゲーム』の場合は一旦リズムを緩めています。
なぜなら、その後の間奏のソロフレーズをより盛り上げるためだからです。
これが2点目のことです。
次の展開を予測し、このDメロのアレンジをどうすることが
一番いいのかを考える必要があるのです。
『シーソーゲーム』ではサビ直後のDメロではリズムを緩めて
全体的に落ち着いた雰囲気にしています。
そして、徐々に盛り上げ間奏でこれまで曲中に一度も出てこなかった
サックスのソロフレーズでテンションがMAXになるように作られているのです。
このDメロもサビや間奏と同じような編曲になっていれば
非常に単調で飽きやすい曲になっていたと思います。
このあたりが編曲家の腕の見せ所といえるでしょう。
この曲は参考になる点が多いので、ぜひ聴いてみましょう。
▶今まで投稿したメロディー&コード進行の記事はこちらから読めます。
最後のひとこと
Dメロが使われている曲はたくさんあるので
出来るだけ多くの作品を聴いて分析をして感覚を掴みましょう。
曲というのは最初から最後まで無駄な部分がありません。
作曲や編曲をしていて、いいアイディアが浮かばず苦しいときに
楽をしたくなる気持ちが出てくるかと思います。
しかし、そこで楽をしてしまうと名曲が生まれることはありません。
辛いですけど、試行錯誤を繰り返しクオリティの高い楽曲を目指しましょう。
自分の思い通りの曲が作れて、リスナーに喜んでもらえること、
それが音楽家として何よりの幸せですからね。
苦しいときには、そのときの『幸せ』をイメージして作業を行いましょう。
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