「コード進行を作ってみたけれど自分の思い通りのサウンドにならない」
音楽活動をされている方なら一度はこのような経験はあるでしょう。
世の出回っている理論書にはカッコイイ響きになるノウハウは
あまり解説されていません。
カッコイイ響きがするコード進行の鍵は『トップノートの動き』と
今回解説する『コードの連結』が握っているのです。
コードの連結とは何か?
コードの連結とはそのコードのコードトーン(構成音)を
次のコードのコードトーンにどのように進行させるのかということです。
理論書ではFM7 – G7 - Em7 - Am7といったコードネームや
IIIm7 - VI m7 – Iim7 - Ⅴ7 – IM7といったディグリーだけが掲載されています。
残念ながらそれだけを学んでも自分の思い通りの響きがする
コード進行は作れません。
では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか?
その答えはコードのコードトーン(構成音)から次のコードのコードトーンへ
どのように進行させるのかが学べばいいのです。
美しいコード進行のコツ『トップノートの動き』で作曲レベルUP!!
▶今までに投稿した『音楽理論』の記事はこちらから読めます。
ポピュラー音楽で用いられるコードの連結には
主に以下の5つがあります。
・ドミナントモーション(例)Ⅴ7 - I
・共通音を保留するパターン(例)I - IV
・共通音が存在しないパターン(例) IV - Ⅴ
・共通音を保留しないパターン(例)IIm - Ⅴ
・ドミナントセブンスコードからの連結(例)V7 - VI m
コードの連結には例外があります。
例えば、I - IVという進行でも共通音を保留しないこともあります。
特にポピュラー音楽ではよくあります。
ですからこれから解説するコードの連結に関しても
絶対に守らなければならないということではありません。
しかし、美しい響きや自然なサウンドにするための
大きなヒントになりますのでしっかりと学ぶことを強くおススメします。
連結のやり方たくさん知っておけば、状況によって使い分けることができますからね。
コードの連結のポイント① ドミナントモーション
ドミナントモーションとはⅤ7 - Iのことで短調なら後続のコードはImになります。
曲やフレーズの終わりなどで使われる最も基本的な進行ですよね。
※短調でもピカルディ終止といって最後のコードにIが使われることがあります。
ドミナントは不安定な響きがしてそれを解消するために
安定したトニックに進行するのです。
ただし、連結を間違えるとあまりいい響きがしなくなりますので
まずはここから学んでいきましょう。
ドミナントモーションについては多くの理論書でも解説されているので
既に知っている方もいるかと思いますが復習をかねて解説します。
ドミナントセブンスコードの不安定な響きを生みだしているのは
『トライトーン』です。
ドミナントセブンスコードのM3とm7のインターバルが
増4度または減5度になっていてこれをトライトーンといいます。
そして不安定から安定した響きを作り出すためには
これらの音をどのように進行させるのかが大切です。
M3は導音といって短2度上行して主音へ進行したがる特性があります。
そしてm7は2度下行させて Iまたは Imの3度の音へ連結させるのです。
G7ならばシがドに進み、ファがミまたはミ♭に進むということです。
※導音はリーディングトーンと呼ばれることもあります。
それでは後続のコードが IM7または Im7の場合ではどうなるのでしょうか?
この場合は先ほどとは異なった連結を行います。
後続のコードが IM7の場合はM3は保留してm7は先ほどと同様に2度下行させます。
後続のコードが Im7の場合はM3は増1度(半音)下行してm7は2度下行させます。
導音が主音へと進行しないので注意が必要です。
コードの連結のポイント② 共通音の扱い方
前のコードと次のコードに共通する音があった場合と、
なかった場合では連結のさせ方が異なります。
・共通音を保留するパターン(例)I - IV
・共通音が存在しないパターン(例) IV - Ⅴ
歌の伴奏はサポートをする役割があるので音の跳躍があるとバタバタした響きなってしまいます。
例外はありますが、コードの連結の基本は共通音を保留することです。
共通音が存在しない場合は最低音のバスと上3和声(ピアノでいうと右手のコード)
は反行させるのが自然です。
バスが上行するなら上3和声は下行させるということです。
あくまでも自然な響きになるというだけでこれが正しいというわけではありません。
コードの連結のポイント③ 共通音をあえて保留しない
IIm – Ⅴでは共通音がありますが保留せずに全てを下行させるのがおすすめです。
共通音を保留しても悪くはないので自分で聞き比べて響きの違いを確認しましょう。
後続のコードがⅤ7なら1音だけ保留させてあとは下行させます。
IIm7 – Ⅴ7の進行は普通の連結で問題ありません。
コードの連結のポイント④ ドミナントセブンスコードからの連結
V7 - VI mの偽終止の連結は非常に興味深く、様々な種類があります。
ポップスで使われる連結もあれば和声学で用いられる連結もありますので
それらを解説していきましょう。
(1)はポップスでも使われる進行です。
基本はやはり導音を主音に進行させるということです。
G7がセブンスコードでAmがトライアドですので
連結の際、音の数が一つ減りますが特に問題ありません。
この連結では連続5度などの禁則に触れているのですが
ポピュラー音楽ではほとんど気にせず使われます。
(2)は導音が主音に進行せずG7の全てのコードトーンを
下行させる連結になっています、これもよく使われます。
(3)は和声学で使われる連結です。
和声学では連続五度や並達8度など禁則があるので
それを避ける連結が行われるのです。
上3和声(ピアノの右手のコード)ではV7のR(根音)を省略します。
私の講座ではこれをB構成と呼んでいます。
ドミナントセブンスコードはP5(完全5度)を省略させることが多いのですが
後続がVI mの場合はRを省略させることもあります。
導音は主音へ進行させ、その他の音は全て下行させるのです。
これでもAmのコードトーンが全て含まれているので立派な連結です。
V7で解説しましたが、Vでも同じような連結になります。
ただし、後続のコードがVI mではなくVI m7だと少し事情が異なります。
楽器を使って音を鳴らしてそれぞれの連結の響きの違いを
自分の耳で確かめてみてください。
(4)と(5)は普通のV7 - IIIm7の場合はV7のM3導音ではないので
自由に連結させることができると思います。
共通音を保留してもしなくてもどちらも可能です。
最後のひとこと
コード進行は音楽活動する方なら誰でも通る道です。
しかし、コード進行をより美しくカッコよくするための
ノウハウは学ぶ機会が少ないと思います。
コードネームだけみるとまったく同じ進行でも
コードの連結を変えることで響きが変わることを
理解していただきたいと思います。
音楽はとても繊細です。
よい曲を作るためにもコード進行を適当に考えるのではなく
よく考え、そしてよく耳と体で音を感じて曲作りに励んでください。
コードの連結による響きの違いは些細なことに感じるかもしれませんが
こういうところに気を使えるようになってくるとあなたの楽曲のクオリティも
ぐんぐん上がることは間違いありませんよ。
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