ピースサインは2017年にリリースされた楽曲で、
アニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニングテーマとして起用されました。
これまで米津玄師さんの楽曲を何曲かレビューしてきましたが、
この曲の完成度が一番高いと思いますね。
メロディーの美しさでは『Lemon』に負けていますが、
総合的に見るとクオリティは高いですね。
米津玄師『ピースサイン』
作詞・作曲・編曲:米津玄師
8小節のプリイントロから始まります。
プリイントロとはメインのイントロの前に出てくるフレーズのことです。
このプリイントロと同じフレーズが曲中に何度か出てきます。そこもポイントですね。
プリイントロの出来はなかなか良いです。
「oh」の繰り返しではありますが、フレーズはカッコイイので印象に残ります。
キックとタムの組み合わせがやや重たいですね。
メインのイントロはギターを中心に組み立てられています。まずまずカッコイイです。
キックの数が多いかなと思いましたが、悪くないですね。
コードを担当するギターやベースも含めて休符を上手に使っていて、とても良いです。
(0:23)
Aメロの歌のメロディーはカッコイイですね。キャッチーでとても良いです。
クラップの音が絶妙で曲に合っています。存在感がありますね。
1回目のAメロということで抑え目なアレンジにしてあります。
ギターとベースは長い音符を使っています。
それだけだと間延びした曲になりますが、もう1本のギターが短い音符を使い、
ミュートを交えたフレーズになっているので、上手にバランスが取れていますね。
ドラムを緩めているのもいいですね。
キックの数を最小限にとどめているので、静かな雰囲気になっています。
クローズリムショットとクラップを同時に使うことは珍しいのですが、
この曲では見事に調和していてカッコいいリズムに仕上がっています。
(0:42)
Bメロの歌のメロディーもいいです。
Aメロとサビを上手につないでいますし、
サビに対する期待感をリスナーに抱かせることに成功しています。
Bメロのアレンジも良いですね。上手に展開させています。
Aメロで出てきた高音域のギターのフレーズを休ませ、少し落ち着いた雰囲気にしています。
これだけでAメロとの差別化ができています。
ギターのミュートプレイが中心となっていて、なかなかカッコイイです。
ドラムも普通の8ビートにしたことで「曲を展開させた」印象を強めています。
スネアの音も曲に合っていて良いですね。
全体的にバランスがいいです。聴いていて心地よさを感じます。
サビに入る前にキメフレーズとブレイクが入ります。
米津玄師さんの曲ではブレイクがよく使われるのですが、使い方があまり上手ではありません。
しかし、この曲はまずまず良い出来ですね。リバースシンバルを入れたのは正しいと思います
(1:03)
サビのメロディーはまずまずカッコイイです。一応、サビらしいメロディーにはなっています。
アレンジは非常にシンプルです。
その中にエレキギターの8分音符のフレーズが非常に輝いていますね。
このフレーズがなかったら、かなり寂しいサビになっていました。上手にアレンジされています。
最後のフレーズではコード進行が、♭VI - ♭ⅤII – Iになっています。
比較的よく使われるコード進行ではありますが、
一時的に転調させ、雰囲気を変えることに成功しています。
完成度が高いサビといえます。間奏はイントロと同じフレーズですね。
(1:37)
2回目のAメロでは1回目の繰り返しではなく、変化を与えます。
この曲ではギターのフレーズを変えていますが、変化が乏しいですね。
大きく変化させる必要もないので、悪くはありませんが。
(1:56)
Bメロもアレンジに変化を与えていますが、これは上手くいっていません。
1回目は8分音符を使ったミュートのギターのフレーズでしたが、
ここで4分音符のフレーズに変えられています。これによって少し落ち着いた雰囲気になります。
基本的には1回目よりは2回目の方を盛り上げるのがいいです。
8分中心のフレーズが4分中心のフレーズに変わったことで、
盛り下がった雰囲気になってしまいました。
ベースも4分音符にしているので、なおさら盛り下がっています。
逆のほうがいいですね。1回目のBメロを4分音符を使って、2回目は8分音符を使う。
この方が徐々に曲を盛り上がらせることが出来ます。
2回目のサビは特に変化はありませんね。
間奏に入る前にブレイクが使われています。本当にブレイクが好きなんですね。
好きでもいいですが。使いどころを絞ることを覚えたほうがいいです。
【楽曲分析】米津玄師『Lemon』をレビューする【フルPV】
(2:42)
間奏のギターのリフはまずまずですね。
他のパートのアレンジを緩めているのも、少し落ち着いた雰囲気になっていいと思います。
クラップの音は相変わらず良いです。
(2:52)
Dメロは及第点。あまり盛り上がりませんね。
歌のメロディーもいまいちですが、新しい展開を見せることには成功しています。
(3:11)
ここからプリイントロと同じフレーズが入ります。これは非常にいいですね。
プリイントロのフレーズは出来がいいので、とこかで出てくるとは思いました。
一番良いタイミングで使われていると思います。
(3:29)
サビに入る前にブレイクが入ります。他の曲でも何回も言っていますが、
ブレイクはここだけで十分です。たくさん使えば効果が薄れるので止めたほうがいいです。
(3:30)
最後のサビは一工夫するのがアレンジの基本です。
この曲は最後にフレーズを付け足していますね。これで十分です。
リズム隊を抜いているので、静かな雰囲気の中で最後のフレーズを際立たせています。
綺麗に曲を締めくくっています。これは上手なアレンジですね。
米津玄師『ピースサイン』の総評
イントロからアウトロまで曲の完成度が高くて、良い曲だと感じました。
アレンジにはいくつか課題はあると思います。
特に2回目のBメロのアレンジは残念でした。
ブレイクの使い方に関しては、もっと気を使って欲しいです。
ブレイクは要所で使うからこそ、力を発揮します。
使うべき場所とそうではない場所の見極めが重要なのです。
リリースされたのは2007年ではなく2017年では?
とおりすがりさん。コメントありがとうございます。
リリース日を修正しました。ご指摘ありがとうございました。