今回は米津玄師の『海の亡霊』のレビューを行います。
デジタル配信限定シングルとしてリリースされた海の亡霊。
劇場アニメ『海獣の子供』の主題歌として起用されました。
オーケストラアレンジは坂東祐大さんが担当しています。楽しみですね。
米津玄師『海の亡霊』
イントロがなくボーカルから曲が始まります。
ハモリパートとエフェクトがとても綺麗ですね。
Aメロの歌のメロディーは美しく、一気に曲の世界観に魅了されます。
ボーカルとピアノのみのアレンジですが、正しいですね。
余計な音を入れないほうが、このAメロには良いでしょう。
次の展開に進む前にブレイクがやはり使われていますね。
米津玄師さんの楽曲分析の記事では、毎回のように指摘していますが
ブレイクの使いどころを絞ったほうがいいです。
(0:21) ここからBメロになりますが、ここの方がAメロっぽい感じがします。
曲の構成に工夫が施されているようですね。それが良い結果を生み出しています。
Bメロの歌のメロディーはまずまず良い出来ですね。
細かいところですが、ハモリパートがAメロとは異なるアレンジが施されています。
それが非常に良い効果を生み出しています。
アレンジにはやや不満があります。
打楽器の音の選択は悪くありませんが、少し音数が多いです。
まだ曲の冒頭ですので、もう少し静かな雰囲気のまま曲を進めたほうが良かったと思います。
ボーカル+ピアノだけでも十分だと思います。
サビの前にはやはりブレイクが使われています。
ちょっと前にブレイクが使われたばかりなので、
ここで使うのであれば、前のブレイクは入れないほうがいいでしょう。
(0:44) サビの歌のメロディーは及第点。それなりには盛り上がっています。
アレンジがいまいちですね。曲が流れていきません。
その原因はリズムあります。3拍目にブレイクとは異なりますが、
音が鳴らない「空白」が生じているのが問題です。
ピタッ、ピタッと曲が止まるので、音が流れず少し心地悪さを生み出しています。
最初のサビなので抑え目なアレンジにした可能性はありますが、
そうだとしてもあまり良いアレンジだとは思いません。
(1:07)
ここでボーカルとドラムのアレンジになりますが、(ピアノも少し入っています)これも微妙ですね。
私の知っている限りでは、ボーカルとドラムのみのアレンジで
良い効果を生み出した曲を聴いたことがありません。あまり相性が良くないのです。
歌詞とスネアのタイミングが合ってしまっているのも良くありません。
「おもいがけず」の「ず」でスネアが鳴り、「ひかるのは」の「は」でもスネアが鳴ってしまっています。
ピアノの音もタイミングが合ってしまっていますね。これが微妙な雰囲気を生み出している原因のひとつです。
いくつかの楽器の音の「縦のリズム」が揃ってしまうと、重たい雰囲気になります。
それを避けるようなアレンジの方がいいです。
(1:12) ここでボーカルとピアノのみのアレンジになりますが、こちらの方が優れていますね。
(1:17) 短い間奏なのでコメントすることは多くありませんが、雰囲気はすごくいいですね。
(1:28) 2回目のAメロは1回目のAメロとは同じアレンジにせずに、
工夫をするのが一般的なアレンジです。
この曲ではBメロで使われた打楽器のフレーズを加えています。悪くはありませんね。
(2:11) ここから2回目の間奏が始まります。
この間奏は秀逸ですね。素晴らしい出来になっています。
『海の亡霊』という曲の世界観が見事に表現されています。
様々な音が絡み合い幻想的を作り出すことに成功しています。
音の使い方、アレンジが非常に優れています。
MVの評価は普段はしないのですが、映像と間奏もバッチリ合っていて良いです。
後半のほうは最後のサビに向かって盛り上げていきますが、盛り上げ方はいまいちですね。
音量を徐々に上げていくのですが、他の手段を用いた方がいいと思います。
具体的にどうすればいいかは思いつきませんが。
最後のサビですがやはりいまいち盛り上がりませんね。
3拍目の空白が依然として残ってしまっているのが原因です。
圧倒的に足りないのはドラムですね。
キックやスネア、クラッシュシンバルの手数を増やして、
もっと派手に盛り上げたほうが良かったです。
その後にボーカルとピアノだけのアレンジにして、
静かな雰囲気を作ればギャップが生まれて良い曲になったと思います。
歌のメロディーを少し変化させて盛り上げていますが、変化が足りません。
(3:39)
アウトロの雰囲気は極めて優れていますね。物語の終わりにふさわしい出来になっています。
感動的な気持ちになりますが、やや短いですね。
もう少しこの世界観に浸っていたいと思ったら、すぐに曲が終えてしまいました。少しもったいないです。
米津玄師『海の亡霊』の総評
米津玄師さんの曲の全てを聴いたわけではありませんのでよく分かりませんが、
私の知る限りでは、今までの曲とは異なる曲調で、新しい挑戦だったように感じました。
サビ以外は上手に作られていたと思います。サビのメロディーはもう一歩ですね。
それよりもアレンジが気になりました。サビのメロディーとアレンジが絡み合っていないので、
曲のクオリティーが高められていないのです。サビはその曲の一番良いところですから、
もう少し力を入れて欲しかったです。
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