好きなアーティストの曲を聴いていて一瞬だけ雰囲気が変わり
切なさを感じることありませんか?
こういう切なさはどのようにして生み出されているのでしょうか?
ダイアトニックコードだけのコード進行の中に
一時的に転調させて雰囲気を変えられるコードがあります。
そのひとつがサブドミナントマイナーコードです。
このサブドミナントマイナーコードは切なさを生み出すに
適しているコードといっていいでしょう。
代理コードもありますのでそのあたりも
今回は詳しく解説していきたいと思います。
サブドミナントマイナーの使い方
サブドミナントマイナーコードはメジャーキー(長調)の曲で
使われるコードで 、IVmとして出てきます。
IVのコードの3度の音を半音下げたコードになっていて
機能はIVと同じでサブドミナントになっています。
IVの代わりに使われることもありますし、
IV→IVmというコード進行として使われることもあります。
トライアドだけでなくセブンスコードのIVm7も使われます。
サブドミナントマイナーコードはIVと同じ「サブドミナント」の機能を
持っていますので代理コードとして使用することが出来ます。
ダイアトニックコードだけで作られたコード進行のなかの
IVのところにIVmを使うことが出来るのです。
ただし、理論上代理コードとして使用できるということであり
サブドミナントマイナーを使えば曲のクオリティが必ずあがる
というわけではまったくありません。
どういうときにサブドミナントマイナーを使えば効果的なのかを知るには
やはり経験を積む必要があります。
私が作ったコード進行を聴いてみましょう。
どういう響きがするのかを知らずに上手に扱うことは出来ませんからね。
コード進行は
I→IVm→I→V7→III7→VIm→IIm7→V7です。
Key in Cだと
C→Fm→C→G7→E7→Am→Dm7→G7
というコード進行になっています。
Fmのところが少し雰囲気が変わったのがわかっていただけたかと思います。
IVとIVmは代理コードの関係ですからFmのところには当然Fも使えます。
E7のところも一時的に転調しているので雰囲気が変わったことに
気づいた方もいると思います。
これはセカンダリードミナントというコードで非常よく使われる
コードなので合わせて覚えておくといいでしょう。
もう一つサブドミナントマイナーコードを使ったコード進行を作りましたので聴いてみましょう。
サブドミナントマイナーをIVの後に使う
IVmはIVと同じサブドミナントだということは先ほど説明しました
コード進行というのは同じ機能同士の進行もあります。
例えばトニック→トニックといった進行です。
C→Amという進行が一例です。
同様にサブドミナントでもIV→ IVmのように
コードを進行させることが出来るのです。
逆のIVm→IVの進行はあまり使われません。
まず最初にI→I7→IV→IVmというコード進行を紹介します。
Key in CならばC→C7→F→Fmという進行になります。
I7→IVの進行もセカンダリードミナントになっています。
トップノートがド→シb→ラ→ラbという流れになっていますよね。
このコード進行はトップノートにクリシェが使われているのです。
クリシェとはコードトーン(構成音)の一部が全音または半音の流れで
進んでいく技法で独特の響きがします。
合わせて覚えておくといいでしょう。
次に紹介するコード進行も今と全く同じ
C→C7→F→Fm
という進行になっています。
同じコード進行でもテンポやリズムを変えると異なる印象を与えることが出来ます。
サブドミナントマイナーの代理コード
IVm(サブドミナントマイナー)がIVの代理コードであることは
すでにお伝えしました。
次はIVmの代理コードについて解説していきます。
IVmの代理コードは誤解されているところがあります。
市販されている理論書の中にもどういう根拠で代理コードになるのか
きちんと説明されていないことがあります。
IVmの代理コードとしてよく挙げられるのは
IIm7♭5や♭VIM7や♭ⅤII7です。
しかし、これらが本当に代理コードと呼べるかは疑問です。
まず♭VIM7ですが特にトライアドで使った場合は
明らかにサブドミナントではなくトニックです。
♭VIは安定した響きにしか聞こえません。
どういう風に聞いても♭VIがIVmの代理コードとは私には思えません。
♭ⅤII7に関してもドミナントセブンスコードですから
トライトーンが存在し不安定な響きがします。
これをサブドミナントマイナーの代理と呼べるかはよく分かりません。
これらのことは短調のコード進行を学ぶと分かると思います。
短調には3つのスケールがあり、それぞれに基づくダイアトニックコードがあります。
ここではナチュラルマイナースケール(自然的短音階)に
基づくダイアトニックコードを中心に考えてみましょう。
長調も短調もコードの機能はほとんど変わりません。
つまり、
・Im7とbVIM7はトニック。
・bIIm7b5 とIVm7はサブドミナント。
・Ⅴm7はドミナント。
・bIIIM7は基本はトニックで後続のコードがbVIM7の場合は
ドミナントになります。
・♭ⅤII7もサブドミナントと言っていいでしょう。
これらのことを詳しく学びたい方は以下の記事を読んでみてください。
長調の曲では同主短調からコードを借用することが出来ます。
Key in CならばKey in Cmのダイアトニックコードを
借用することが出来るということです。
先ほどの譜面に載っているKey in CmのコードがKey in Cで使えるということです。
これらのコードを上手に取り入れて美しいコード進行を
作っていくといいでしょう。
一時的に転調するコードというのは上手に使いこなすと
楽曲の雰囲気を変えられるのでとても魅力的です。
サブドミナントマイナーコードを使うとどういう響きが得られるかは
今回の記事で少しは理解していただけたと思います。
サブドミナントマイナーコードだけを覚えるのではなく
モーダルインターチェンジも合わせて覚え、コード進行パターンを
どんどん増やしていきましょう。
そうすることであなたが作る音楽はどんどん優れたものに
なっていくことは間違いありません。
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