作曲や編曲を行っていると思い通りの曲が作れず、
「センスがないなぁ……。」と悩むことがあります。
誰でも一度は通る道だとは思いますが、
センスが感じられない編曲とは具体的にどういうものでしょうか?
今回の記事では、プロが作った曲を例に挙げながら、
悪い編曲の具体例を解説していこうと思います。
「プロが作った曲に悪い部分なんてあるの?」と
言われる方がいるのですが、めちゃくちゃあります。
特に今の日本の音楽業界のレベルは低いですから、
反面教師にする曲はいくらでもあります。
今回はYOASOBIの「夜に駆ける」と米津玄師の「Lemon」を中心に解説します。
反面教師にする点が多いので、編曲の勉強をされている方には良い教材になっています。
それではさっそく始めましょう。
音を詰め込みすぎた編曲は聴きづらい
音がスカスカなのも問題な場合がありますが、
音が必要以上に詰め込まれた編曲はセンスがありません。
YOASOBIの「夜に駆ける」は冒頭の編曲からよくありません。
ボーカル+ピアノですが、これ自体はよくある構成です。
ボーカルが旋律(メロディー)を担当する。
ピアノはコードを鳴らし伴奏としてボーカルを支える。
これが一般的な編曲です。
しかし、ピアノで伴奏だけでなく旋律も鳴らしてしまっています。
これがボーカルの邪魔をしています。
歌のメロディーが短い音符で形成されているにもかかわらず、
ピアノの音も同様に短い音符で作られています。
このような音の詰め込みすぎというのは編曲のセンスがありません。
ピアノのフレーズが打ち込み臭が強いのもマイナス要因です。
ピアノを休ませずにずっと鳴らし続けています。
1回目のAメロだけは休ませているのですが、2回目のAメロもBメロ、サビもDメロも
落ちサビもアウトロも全部鳴らしています。
Bメロはわざわざ右と左で別々にピアノを鳴らしていますが、完全に逆効果ですね。
ピアノは短い音符を使ったフレーズで、常に歌のメロディーの邪魔をしています。
絶対にやってはいけない編曲ですね。
歌のメロディーとピアノのフレーズが調和していればいいのですが、
全くそうはなっていません。関連性がなく、バラバラです。
編曲者が対位法を学んでいないのがすぐに分かります。
旋律が調和していないので、心地悪い音楽になってしまうのです。
いくらピアノが好きでも、多用すればいいということにはなりません。
むしろ逆の考え方が正しいです。
ピアノが好きならばピアノが輝くように編曲することが大切です。
目立たせるときと休ませるときの見極めが重要なのです。
常に鳴らしてしまうと、その楽器の魅力が引き出せません。
・好きな音色だからこそ抑える。 ・必要な時に全面に出す。 |
これが編曲の基本だと覚えてください。
編曲の際にブレイクを多用しすぎている
ブレイクとは、全て(またはほとんど)の楽器が演奏を止め、
静かな空間を生み出す技法です。
音が鳴り続ける中で、一瞬だけ音が消えるとそこだけ目立つのです。
まさに「無音を奏でる」という表現が適切です。
また、静かな空間を生み出した後にある特定の音色だけを
鳴らすという手法もあります。
特定の音色はボーカルの歌声であることが非常に多いです。
ブレイクを使い、ボーカルのみにして重要なフレーズを歌わせる。
非常によく使われる編曲なので、必ず習得しましょう。
ただし、ブレイクの使い方には注意点があります。
ブレイクを多用すると曲のクオリティーは下がるのです。
ブレイクを使うと曲の流れが止まります。
表現を言い換えるならば、曲が流れていかないのです。
止まっては動き、止まっては動きの繰り返し。
これでは名曲になりようがありません。
ブレイクは要所だけに使うものであり、多用するものではないのです。
米津玄師の曲はブレイクの使い方が上手くありません。
Lemonやアイネクライネは、ブレイク多用して編曲に失敗しています。
いくらメロディーが美しても、上手に編曲しないと曲のクオリティは絶対に上がりません。
曲の構成が練られていない曲は編曲のセンスがない
編曲と聞くと、伴奏の作り方をイメージすると思いますが、
実際にはそれだけではありません。楽曲の構成も非常に重要な編曲の要素です。
センスがない曲の構成の特徴は以下のようなものがあります。
センスがない編曲の特徴(構成編)
- イントロがない
- 2回目のAメロに工夫がない
- 間奏がない
- Dメロがない
- 落ちサビがない
- 最後のサビに工夫がない
- アウトロがない
まさに「ないない尽くし」ですね。
フレーズの出来が悪いというより、曲の構成が練られていないのです。
これらすべてを盛り込まないといけないかというと、そうではありません。
ただし、イントロがなくて間奏もなく、アウトロもないというのは寂しすぎます。
先ほどの米津玄師のLemonはこういう構成になっています。
落ちサビは必ず入れなければいけないというものではありませんが、
最後のサビの前に少しクールダウンさせて、サビに向けて盛り上げるという
編曲はよく使われていますし、覚えておくのがいいです。
曲の構成が練られていない、「ないない尽くし」の編曲というのは、
極端な話、AメロとBメロとサビのメロディーしかないということになります。
曲の情報量が圧倒的に少ないのです。
こういった編曲はセンスがないと言わざるを得ません。
あなたも編曲する際には十分に構成を練って作業しましょう。
イントロの作り方、間奏の作り方、落ちサビの作り方について学びたい方は
以下のリンクから読んでみてください。
駄目な編曲は音色のバランスが悪い
フレーズそのものは良くても、音色選びに間違えるとバランスが悪くなります。
当然、そのような曲は「センスのない編曲」になってしまいます。
特に、ドラムの音色のバランスが悪い編曲は多いです。
ドラムの勉強をするときにはリズムパターンだけを学んでいてはいけません。
「キックとスネア、そしてハイハットの音色のバランスをまずしっかりと整える」
これがセンスがある編曲の基本中の基本です。
DTMで曲を作るときに、マルチ音源の中に「○○kit」という名前のドラムがあるはずです。
それらは、キックやスネアのバランスはさほど悪くないです。
ソフトを作った人が、バランスよく音を整えてくれたからでしょう。
しかし、「シンバルの音だけがいまいち」とか「スネアが軽い」といった不満が出てくると思います。
その場合には、不満がある音を別のドラム音源から持ってきて使うのがいいです。
リズム隊であるドラムとベースの音をキチンと整えることが大切です。
特にキックとベースの帯域が被ってしまうと、音が埋もれてしまう恐れがあります。
バランスが整えられたドラムとはどういうものなのか?
これを学ぶことが必須です。
やはり、プロの曲を聴いて学ぶのがおススメです。
ドラムだけでなく、その他の楽器の音色のバランスも研究しましょう。
必ず編曲の力が伸びますよ。
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