作曲するときにやってはいけないコード進行はあるのでしょうか?
「コード進行は自由に作って良い」と言われることが多いのですが、
知識や経験が乏しい初心者はどう組み立てればいいのか悩みます。
コード進行が上手く組み立てられないと曲のクオリティーが下がります。
記事のタイトルでは「やってはいけない」という強い表現を使っていますが、
実際には禁則はないので、禁止されているコード進行はありません。
ただし、あまり響きが美しくないコード進行があるのは事実です。
今回のテーマは「気を付けるコード進行」という程度に捉えてください。
やってはいけないコード進行① 変進行には注意
変進行を小難しく解説すると、「完全5度上行(または完全4度下行)」する
コード進行のことです。強進行の逆なので、逆進行とも呼ばれます。
強進行は完全4度上行(または完全5度下行)になっています。
代表的なのは、IIm7→V7→I(ツーファイブワン)です。
変進行の代表的なコード進行はIM7→Ⅴ7やIVM7→IM7です。
Key in CならばCM7→G7やFM7→CM7といった進行です。
この2つのコード進行は全く問題なく使用することができます。
少し問題となるのは以下の変進行です。
カッコ内はKey in Cの時のコード進行です。
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この2つのコード進行はあまりおススメできません。
なぜなら、単純に美しくないからです。
「美しく感じるかは、個人の好みの問題だ」という人がいるかもしれませんね。
一度楽器でこれらのコード進行を鳴らしてみてください。
特に問題を感じられないのであれば、それでも構いません。
人の感性というのは個人差がありますので。
ただし、これらのコード進行が使われた曲が少ないのは事実です。
やってはいけないコード進行② 同じ機能のコード進行に注意
「トニック同士の進行やサブドミナント同士の進行は可能である」
このように教えている教育者や理論書は多いですが、
コード進行はそれほど単純ではありません。
トニック同士の進行でも、組み合わせ方で響きは変わります。
例えば、IM7→VIm7やIM7→ IIIm7の進行は問題ありません。
VIm7→ IIIm7やIIIm7→VIm7も問題ありません。
ただし、IIIm7→VIm7の進行に関してはトニック同士の進行とは呼びづらいです。
なぜなら、この進行はVI度調から見た場合、Vm7→Im7の進行になっているからです。
Key in Cで考えるとIIIm7→VIm7はEm7→Am7になります。
Em7→Am7をKey in Amから見た場合Vm7→Im7になっています。
つまり、ドミナントからトニックの進行になっているのです。
この点は留意しておいてください。
話を戻します。
トニック同士のコード進行は前述のものであれば問題ありません。
それ以外の進行には少し気を付けたほうがいいです。
VIm7→IM7やIIIm7→IM7といった進行は使われることが少ないです。
実際、そこまで変な響きがするかと言われるとそうでもありませんが、
IM7が後続のコードになる進行はあまりおススメできません。
サブドミナント同士の進行でも気を付ける進行があります。
IVM7→IIm7の進行が一般的で、逆のIIm7→IVM7はあまり使われません。
これらの進行も使ってはいけないと考えるよりも、
実際に音を鳴らしてみて自分の耳で感じ取ることが大切です。
やってはいけないコード進行③ 準固有和音には注意
準固有和音という言葉を聞いたことがない人もいるかと思います。
簡単に言えば以下の通りになります。
・固有和音→Key in Cのダイアトニックコード
・準固有和音→Key in Cmのダイアトニックコード
同主短調からの借用和音ということになります。
同主調というのは、同じ主音を持つ長調と短調の関係です。
ドを主音とする長調はKey in Cで短調はKey in Cmということですね。
ハ長調とハ短調の関係のことです。
Key in Cの曲にKey in Cmのコードを借用することができるのです。
ポピュラー音楽の世界では、モーダルインターチェンジといったりしますが、
この表現は正確ではない可能性がありますので今回は使用しません。
さて、準固有和音をコード進行に盛り込むときに注意が必要ですので
そのあたりを詳しく解説していきます。
①固有和音から準固有和音のコード進行は問題なし ②準固有和音から固有和音のコード進行は気を付ける ③準固有和音から準固有和音のコード進行は普通のカデンツ通り |
この3点を中心に解説します。
①の固有和音から準固有和音から見ていきましょう。
例えば、
・IV→IVm (F→Fm) ・I→♭VI (C→Ab) ・VIm7→IIm7♭5 (Am7→Dm7b5) |
このような進行は使われることがあります。
上手に使うと綺麗なコード進行ができますよ。特に注意する点はありません。
②の準固有和音から固有和音のコード進行を見ていきましょう。
この進行の場合は、後続のコードがIかⅤ7の場合は問題ありません。
具体例を出しますと、
・IVm→I (Fm→C) ・IIm7♭5→Ⅴ7 (Dm7b5→G7) ・♭VIM7→Ⅴ7 (AbM7→G7) |
これらのコード進行は問題なく使えます。
準固有和音から固有和音のコード進行で気を付けるものを挙げてみます。
・IVm→IIm7 (Fm→Dm7) ・IVm→IV (Fm→F) ・♭VIM7→VIm7 (AbM7→Am7) ・♭VIM7→ IIIm7 (AbM7→Em7) |
これらの進行はあまり使われません。
IVm→IVに関しては逆のIV→IVmはよく使われます。
この進行は、増1度(半音)の関係の音があるのでそれを上手に使うといいです。
IVm→IVに関しても増1度の音があるのでそれを上手に使えば
優れたコード進行が作れる可能性はあると思います。
Fm→Fはファとドが共通していて、ラb→ラの増1度の上行があるので、
それを上手に使いながらコード進行を組み立てると面白い発見があるかもしれません。
③の準固有和音から準固有和音のコード進行は、普通に作れます。
準固有和音同士のコード進行は、カデンツ通りで問題ありません。
長調でコード進行のことを学ばれたと思いますが、それをそのまま応用させればいいのです。
VIm7→IIm7という進行が可能ですから、♭VIM7→IIm7♭5という進行も可能ということです。
・IVm7→IIm7♭5 (Fm7→Dm7b5) ・♭VIM7→IIm7♭5 (AbM7→Dm7b5) ・♭VIM7→♭IIIM7 (AbM7→EbM7) |
これらのコード進行は問題ありません。
先ほどIIm7→VIm7(Dm7→Am7)の進行があまり良くないと言いましたが、
これは準固有和音同士のコード進行でも同じことが言えます。
・IIm7♭5→♭VIM7 (Dm7b5→AbM7)
この進行はあまり使われません。
サブドミナント同士のコード進行で解説しましたが、
IIm7→IVM7はあまり使われません。
これも準固有和音同士のコード進行でも同じです。
・IIm7♭5→IVm7 (Dm7b5→Fm7)
この進行もあまり使われません。
やってはいけないコード進行の最後のひとこと
「やってはいけないなら使うのをやめよう」ではなく、
一度自分の耳で聴いてみる。そして自分の曲でも使ってみる。
そこで立派なコード進行が作れたのであれば、そのまま使えばいいですし、
上手くいかなければ使うのをやめればいいのです。
他人から「このコード進行を使うな」と言われたからといって
鵜呑みにするのはあまり良くありません。
自分の耳と感性を育てていき、自分の判断で曲を作ることが大切です。
今回の記事を参考にしながら、作曲活動を頑張っがんばってみてください。
素晴らしいコード進行が作れるようになることを願っています。
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