今回は米津玄師の『LOSER』のレビューを行います。
米津玄師の『LOSER』
作詞・作曲: 米津玄師 編曲: 米津玄師 / 蔦谷好位置
曲の冒頭、プリイントロが入っています。
プリイントロとはメインのイントロの前に出てくるフレーズのことです。
この曲では言葉で形容するのが難しい音が入っています。
ギターのノイズなどを利用したフレーズですね。
無いよりはあったほうがいいという程度でしょう。
メインのイントロのフレーズはカッコイイです。
ドラムの音とフレーズが特にいいです。
キックが力強く、クラップも曲にバッチリ合っています。
ギターのリフもいいですし、優れたイントロになっています。
Aメロに行く前にキックとクラップを抜いたのもいいですね。
少し緩めてからAメロに進んでいます。
全体的にいいアレンジです。
Aメロに入った瞬間にブレイクで意表をついています。
これは優れたブレイクの使い方といっていいでしょう。
非常にカッコイイです。
歌のメロディーは及第点です。
特に悪くありませんが、良いメロディーともいえません。
クラップの音が悪いですね。
イントロでは合っているのですが、Aメロにこのクラップは強すぎます。
もう少し軽いクラップかスネアに変えたほうがいいと思います。
2コーラス目のAメロなのですが、ここは秀逸ですよ。
1:43から始まるフレーズですが、AメロともBメロとも
違うメロディーが使われています。
その意外性もいいですしアレンジも優れています。
力強いキックはカッコイイのですが、ずっと聴いていると
耳が疲れてしまうのです。
「そろそろ抜いて欲しいな」と思ったタイミングで抜かれています。
クラップからスネアに変えたのも正解ですね。
ギターのミュートも淡々と弾かれていてクールです。
パーカッションも入っていますが聞き取りづらいです。
ピッチが低めのアゴゴ・ベルでしょうか?
ライドシンバルも入っていますね。
全体的にいい味を出しています。
ここのフレーズは長めになっていて
徐々に盛り上げていき、次のBメロに進行します。
2コーラス目のAメロとBメロの間に新しいフレーズを入れるという
発想も面白いですし、アレンジも優れていて良いですね。
Aメロからの流れを自然に受け取り、サビにつなげています。
作曲をする上でAからサビまでを自然な流れで進む
メロディーを作ることって簡単ではないんですよね。
この曲はまずまずうまく作れています。
特に悪い点も良い点もなく無難な出来です。
サビに入る前のフレーズが一種だけですので少し残念です。
キメフレーズからエレキギターのハーモニクスのフレーズです。
カッコイイですけど1曲の中で何度も出てくるのでやや単調です。
サビのメロディーも及第点ですね。
冒頭部分はサビらしいメロディーになっていますが、
そこから盛り上がっていきません。
リズム隊がカッコイイので様になっていますが、
メロディーはいまいちですね。
やはり、いいメロディーを書くということが
一番難しく、そして大切だと改めて思いました。
最初のサビの後の間奏はイントロと同じフレーズです。
Dメロのアレンジは緩められていていいと思います。
やはりキックの音がかなり強いので、耳を休ませて欲しいです。
歌のメロディーは淡白でいまいちです。
後半部分はもっともっと盛り上げなければいけません。
サビに入る前のフレーズはB→サビのときと同じです。
単調さが生まれますから1回は変えたほうがいいと思います。
アウトロはイントロと同じフレーズが使われています。
イントロはカッコイイのでここでも使うのは自然です。
米津玄師の『LOSER』の総評
カッコいいイントロから始まり、期待を持たせる内容ではありましたが、
やはりメロディーがやや弱いです。
これは現代の音楽の最大の課題のような気がします。
「メロディーもコード進行も出尽くした」
このようなことをいう人がたまにいますが、
まったく出尽くしていませんので、ご心配なく。
この曲ではアレンジ面でいいところもありました。
しかし、音楽というのはメロディーが持つ力が圧倒的に大きいので、
どんなに優れたアレンジでもメロディーが良くなければ、
曲が評価されることはありません。
作曲家の才能が最も問われる時代なのかもしれませんね。
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