JPOPの編曲を行う上で必要な知識はたくさんあります。
ただ、いいメロディーを作りアレンジすればいいのではなく、
リスナーを飽きさせないようにするために様々な工夫を施す必要があります。
そこで今回は、曲のクオリティーを上げる『落ちサビ』について解説します。
落ちサビとは何か?
通常のサビの編曲では、盛り上げるために
様々な楽器が使われることが多いです。
それに対して落ちサビは、ピアノやギターで弾き語り式にするということです。
ストリングスとボーカルのみとかリズムは完全に抜くとか様々なアレンジがあります。
何のためにそのようなことをする必要があるのでしょうか?
工夫がない編曲は単調で平たんな印象をリスナーに与えてしまいます。
それを避けるために間奏の後に落ちサビを入れて
一旦、クールダウンして曲を落ち着かせるのです。
そして、落ちサビの後半部分では最後のサビに向かって
徐々に盛り上げるようなアレンジにするのです。
このような構成にするとメリハリが付いて良いのです。
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落ちサビをどこで使うのか?
落ちサビは、最後のサビの前に使われることがほとんどです。
間奏またはDメロと最後のサビの間に落ちサビが入ります。
間奏(Dメロ)と最後のサビの「つなぎの部分」ということです。
一例を挙げますが、間奏ではギターソロで曲を盛り上げます。
そのまま最後のサビに進んでも悪くはありませんが、
そうすると曲がずっと盛り上がったままの状態になってしまうのです。
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プロの曲で落ちサビを分析する
落ちサビのアレンジには様々な手法があります。
前に述べたように、ピアノやギターの弾き語りにするとか
ストリングスとボーカルのみにするとかがあります。
キックだけを残すとかドラムの一部だけを鳴らすのもいいです。
音量は少し落とすのがいいでしょう。
落ちサビの正しい作り方は存在しませんので
たくさんの楽曲を聴いて分析しましょう。
ここからはプロが作った曲を挙げながら解説していきます。
Misia『Everything』
Misiaの『Everything』では落ちサビの直前までは
ドラムの手数が多いフレーズが多用されています。
その後、落ちサビに入る直前にまずキメフレーズとブレイクが使われ、
静かな空間が生まれます。
そして落ちサビに入るのです。
この曲のように極端にメリハリを付けた方が
ドラマティックな曲になります。
緊張した状態から緩和の状態に展開されることで
単純さを薄めて曲のクオリティーが上がるということです。
参考になるので、ぜひ聴いてみてください。
小柳ゆきの「愛情」では間奏の激しいアレンジから
落ちサビでリズムを完全に抜いて落ち着かせています。
やはりこれも緊張から緩和の展開になっています。
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SEKAI NO OWARI『Dragon Night』
2:35辺りから落ちサビです。
SEKAI NO OWARIの『Dragon Night』でも
落ちサビが使われていますね。
間奏が盛り上がっている中で意外性がある編曲で、
落ちサビへと展開しています。
ボーカルとシンセサイザー、そしてスネアも少し鳴っています。
このようなアレンジで静かなサビを作ることでドラマティックな曲になるのです。
少し変わったテクニックでは平野綾の「明日のプリズム」があります。
落ちサビでボーカルにおそらくフィルターだと思いますが、
エフェクトを駆使して、ラジオ風にしてあります。
落ちサビのアレンジは、普通は音を抜いたりするのですが、
この曲はエフェクトで音をカットして落ちサビにするという
面白いアレンジになっています。
これでも抑えたアレンジにできます。
様々な手法を学んでおくと編曲の幅が一気に広がりますので
たくさんの曲を聴いて研究してください。
少し変わった構成が使われた曲も紹介します。
落ちサビではないのですが似たようなアレンジが
使われた曲があります。
桑田佳祐の『波乗りジョニー』では間奏後にBメロに戻ります。
これ自体はよくあることですが、このBメロが落ちサビのように
リズムを抜いたりして落ち着かせたアレンジになっています。
サビではなくBメロを落ちサビのように
落ち着かせたアレンジにしてあるのです。
こういうテクニックも知っておくといいでしょう。
落ちサビのまとめ
「編曲とはメロディーに伴奏を付けることだ」
このように考える人も少なくないでしょう。
しかし、実際にはもっとやるべきことは多く、
今回のテーマである落ちサビのアレンジも考えなければいけません。
すばらしいメロディーやイントロ、ソロフレーズだけが
曲を輝かせているのではありません。
落ちサビのように、リスナーを飽きさせずに緊張と緩和のバランスを
絶妙にとりながら編曲していくことも非常に重要なことなのです。
音をどんどん詰め込めればいい曲になるわけではありません。
盛り上げるアレンジ、落ち着かせるアレンジには
様々な手法があるのでたくさんの曲を聴いて学んでみてください。
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