今回はGLAYの『BELOVED』のレビューを行います。
BELOVED は1996年にリリースされたGLAYの9枚目のシングルです。
かなり昔の曲ではありますが、現在でも色褪せない名曲です。
若者の中にはこの曲を知らない人がいるかもしれませんね。
ぜひ、この機会に覚えていただきたいと思います。
GLAY『BELOVED』
作詞・作曲:TAKURO / 編曲:GLAY、佐久間正英
私は、イントロというのはその曲の象徴になりうる重要な存在だと考えています。
サビのメロディーが良くてイントロが良くない曲というのは少ないですし、逆も同じです。
私も作曲経験を重ねてきて分かるのは、優れたメロディーが浮かんだときには、
その曲のイントロを作るときにも自然と力が入るということです。
このBELOVEDはイントロが極めて優れていて、甘美なフレーズになっています。
非常に美しいアコースティックギターの旋律的アルペジオから曲が始まります。
その流れのまま今度はエレキギターのソロフレーズに移行します。
このギターソロも非常にカッコイイですね!!
イントロからいきなり2つの一級品のフレーズが聴けるということはなかなかありません。
100点満点のイントロではないでしょうか。
(0:49)
Aメロのコード進行はシンプルなF - C - Dmになっています。(I→V→VIm)
これを繰り返すだけではありますが、メロディーが良いので十分ですね。
アレンジはベースを入れず、アコギのストロークとドラムのみです。
最初の8小節は落ち着かせたアレンジにしておいて、
繰り返しのAメロには楽器を加えて少し盛り上げるというのがアレンジの基本です。
8小節後にはもう1本のギターを入れて、こちらはアルペジオになっています。
ベースも加えています。単純なルート音を弾くのではなく、少し工夫しています。
(1:23)
Bメロもコード進行はシンプルではあります。Bb - A7 - Dmを3回演奏します。
セカンダリードミナントを使っているので、少しだけ雰囲気が変わりますね。
Bb - A7ではシンコペーションを使っているので、前へ進む力が少し強く働いています。
細かいですが大事なことです。
メロディーも切ない感じが出ていていいですね。サビに期待を持たせてくれる出来になっています。
ギターを1本増やし、3本のギター全てがコードをかき鳴らすようなフレーズです。
ベースも単純にならないように適度に動かしながら曲を彩っています。
メロディーが先行する形で、サビに向かって徐々に盛り上がっていきます。
「この後に絶対素晴らしいサビが来る!」という確信を持たせるBメロですね。
(1:41)
とにかくサビのメロディーが圧倒的に優れています。
『今の音楽業界の中で、このレベルの曲を作れる人がいますか?』
そう思わせるような素晴らしいサビですね。
必要なところで高音のフレーズが使われていますし、シンコペーションも
セカンダリードミナントも適切なタイミングで上手に使われています。
ボーカルの声質とも合っています。アレンジはシンプルですが、余計なことをする必要がありません。
歌をリスナーに聞かせてあげればいいのです。
(2:23)
間奏はエレキギターによるソロです。これも非常にカッコイイギターソロになっています。
最初は低めの音域の音を使っておいて、突如16分音符を用いた高音のフレーズが出てきて盛り上げます。
ギターソロのメロディーが歌っていますよね。ただの音の羅列ではありません。
才能がある人が作るとこういうギターソロになるのです。
伴奏はシンプルですが、いいのです。ギターソロをリスナーに聞かせてあげてください。
イントロのソロも優れていますが、間奏のソロも非常にカッコいいですね。
1曲でこれだけ優れたギターソロが聴ける曲はなかなかありません。
(2:58)
2回目のBメロは特にアレンジに変化はありませんね。
最後のサビはそれまでのサビと同じでは寂しいので、変化を与えるのが基本です。
この曲では2箇所で変化を与えています。
1箇所目は3:44あたりからです。
小節を加えてフレーズを増やし、力を溜めてサビの繰り返しに進んでいきます。
2箇所目は4:18あたりから。高音を使ったメロディーに変えて、
ただでさえ盛り上がっているメロディーをさらに盛り上げています。
リスナーのテンションもここで最高潮に達します。
素晴らしいとしか言えませんね。最後も少し小節を加えて、フレーズを足していますね。
そして最後のアウトロに進みます。
(4:45)
短いですがアウトロもしっかりと作りこまれています。
短いギターソロの後、アコギのアルペジオの綺麗なフレーズで曲が締められています。
スコアには掲載されていませんが、シンセ・パッドも使われていましたね。
GLAY『BELOVED』の総評
悪いところを探すほう難しいこの曲ですが、
強いて言えば最初のサビに入ってからは落ち着くところがありません。
落ちサビもないので盛り上がった状態が続いていますね。
個人的な意見ではありますが、派手にするところと落ち着かせるところの
メリハリを付けたほうが曲のクオリティーが高まると考えています。
しかし、この曲の場合はあまり気になりませんね。
イントロ、サビ、間奏と、どこを取って聞いてみても優れたメロディーばかりなのは驚きですね。
このような名曲を、現代の音楽家もがんばって作ってもらいたいと心から願っております。
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