ストリングスのアレンジテクニックを一挙に解説!!【編曲のコツ】

シンセ・ストリングスとはバイオリンビオラやチェロ、コントラバス、
主に弓で弾く弦楽器をシンセサイザーで再現した音色のことをいいます。

ストリングスという楽器があるわけではないので気を付けましょう。

今回はシンセ・ストリングスでよく使われるフレーズや特徴を解説します。

バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの全ての音域を持っているので、
高音域だけでなく中音域や低音域にも魅力があり、学びがいがあります。

色彩感豊かなストリングスを自在に操れるようになったら、
曲作りもますます楽しくなりますよね。

それではさっそく解説を始めていきましょう。

ストリングスの魅力が生かされた曲を聴いてみよう♪

冒頭で述べたようにストリングスは音域が広いですし、様々な奏法があります。
その特徴を生かした曲があるのでさっそく聴いてみましょう。

Coldplay『Viva La Vida』

イントロでは中音域の小刻みのフレーズが使われていますし、
歌が入ってからはバイオリンのソロフレーズが使われています。

サビでは高音域で長い音符で曲を彩っていますね。

このように音域や奏法や音符の長さなどを工夫することで、
表情豊かなサウンドになるのです。

ストリングスをペダルポイントで輝かせる!

ストリングスではソプラノペダルのように長い音価で使われることが多いです。
その際のストリングスのフレーズはテンションノートを使うといいでしょう。

下の図を見てください。

Dm7→G7→CM7→FM7の進行の際にソ(G)の音をストリングスで鳴らすことがあるのですが、
この音はDm11では11th 、G7ではR、CM7ではP5、FM7では9thになっています。

これをソプラノペダルといいます。

ソプラノペダルとはペダルポイントの一種で、
コードが代わっても同じ音を鳴らし続けることを言います。

上の楽譜では「ソ」の音でソプラノペダルを使用していますが、別の音でも可能です。

そのためにはそのコードで認められているテンション・ノートを、理解する必要があります。
適当に使ってしまうと音が濁りますから気をつけてください。

クリシェやペダルポイントを使ってコード進行の『質』を高めよう

打ち込みのコツも紹介しましょう。

アタックタイムを少し遅めに設定しているのがポイントです。
アタックタイムとは音が鳴ってから最大音量までに達する時間のことです。

アタックタイムはエンベロープのADSRのAのことです。
シンセサイザーでよく使われるので聞いたことある人もいるでしょう。

・A=アタック
・D=ディケイ
・S=サステイン
・R=リリース

アタックタイムを遅めに設定するとジワ~っと音が鳴るということです。
ソフト音源の設定で変えられるはずですので、色々試してみるといいでしょう。

ストリングスを短い音符で使って彩る

ストリングスは長い音符が使われることが多いと思いますが、
短い音符で作られたフレーズもいい味が出るので紹介します。

ここではオブリガートとして使ってみましょう。

オブリガートとは主旋律が終えた後の空間に使用されるメロディーのことです。
ここでは主旋律はありませんが、あると仮定して聴いてみてください。


※楽譜ではエレキギターになっていますが、アコギの間違いです。

ストリングスではなくソロのバイオリンで演奏するのもいいでしょう。
弦楽器と木管楽器は相性がいいので、例えばユニゾンでフルートを重ねてみるのもいいです。

【初心者必見!】編曲家になるにはどんな勉強をしたらいいの?

可愛らしいピチカート奏法を習得しよう

ピチカートとは弦を弓ではなく指で弾く奏法で、
弓で弾いた音とは全く違う可愛らしい表情になります。

楽譜にはpizz.と表記します。元に戻すときにはarcoと記します。

人間が弾くときには弓から指、指から弓へと変える時間が
必要になりますが、シンセ・ストリングスならばその心配は不要です。

もし、演奏家の方に弾いてもらうならばその時間を考慮する必要があります。

どのくらいの時間がかかるかは、そのときの弓の位置によるので
一概に○秒だということは出来ません。

DTMで打ち込むときにはストリングスとは別のピッチカートの音を用意するか、
キースイッチを使って奏法を変えて打ち込むやり方があります。

キースイッチとはエレキギターのソフト音源でも使われますが、その楽器の音域外の音、
特に低い音が使われますがその音を押しながら鳴らしたい音を押すと様々な奏法が奏でられます。

駆け上がりフレーズで曲を盛り上げよう!

バラードで出てくる駆け上がりフレーズもよく使われます。
サビの直前に出てきて、「これからサビに行くぞ-!」と盛り上げてくれます。

ゴールの音を決めてそこから逆算してフレーズを作るのがいいでしょう。

ただスケールを駆け上がることもありますし、そうではないフレーズもあります。
16分音符で作るのもいいですし、7連符や9連符も効果的ですよ。

駆け上がりフレーズに限ったことではありませんが、
ストリングスは1オクターブ下で同じフレーズを重ねることがあります。

他にも音を厚くするために2つの音源をユニゾンで重ねたり、
音を少しだけ長くすることもあります。

音に厚みを出すために、少しピッチをずらした音を
1オクターブ下で重ねたりコーラスをかけたりすることがあります。

ピッチをずらすのはシンセサイザーのデチューンと似ていますね。

同じストリングスのソフトを使わなければいけないということではありません。
別のソフトでストリングスをオクターブ下で重ねるのもいいでしょう。

音を少しだけ長くすると滑らかさが生まれます。
以下のピアノロールの図で打ち込み方を確認しましょう。

駆け上がりだけでなく駆け下がりのフレーズもあるので試してみましょう。

中音域でストリングスを使おう

バラードのBメロなどに使われる中音域によるフレーズを紹介します。

ストリングスは高音の派手な音が印象的ですが、中音域も美しい響きがします。

サビでは高音域の音が使われることが多いですが、
AメロやBメロでは少し低い音域の音が使われることがあります。

ずっと高音域の音が使われると耳が疲れてしまうので避けるのがいいでしょう。
それに対して中音域の音は耳にやさしいので、ずっと聴いていられます。

最後のかけ上がりではフレーズではスケールをなぞるだけでなく、
もう少し作りこんだフレーズになっています。


本格的なストリングス・アレンジに挑戦!

単純にストリングスでコードを鳴らすのもありますね。
その場合は共通音をタイでつなぐのがいいと思います。

歌や木管、金管楽器と違って息継ぎが必要ではありませんので
長い音符での演奏も可能です。この辺りも弦楽器の強みです。

先ほど説明したアタックタイムを遅くすると、
音の立ち上がりが遅く不自然な響きになることがあります。

コードを連続したフレーズならアタックタイムに注意しましょう。

ストリングスとはバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの音域の全てを含んでいるので、
その音域を生かしてボイシングを作る方法もあるということです。

ポップスではエレキベースがよく使われますので、
同じような音域のコントラバスは省略されることがあります。

偉そうに語っているこの私ですが、ストリングスのアレンジをあまりやったことがありません 😥 
そこで今回は恥を忍んで思い切って挑戦して作った曲を公開します。



発想記号や演奏記号は付ける余裕がなかったです。
音もほぼベタ打ちになっています。ドラムの譜面を忘れてるし…… 😥 

ストリングスアレンジを行う上で意識した3点を紹介します。

・第一バイオリンと第二バイオリンはオクターブで重ねる。
・チェロはコードのルート音を担当する
・ビオラは和音の補充の役割

この3点を意識して作ってみた結果分かったことや課題も確認できました。

第一バイオリンと歌のメロディーはユニゾン(同度)にしない。
3度以上離すのがいいだろう。
歌のメロディーとバイオリンのリズムを合わせない。
歌が長い音符ならストリングスは短い音符にしたほうがいい。

チェロとベースの関係性は難しく全て同じフレーズだと味気ないが、
どのように差をつけるのかがよく分からなかった。

和声学の知識があると、より美しいサウンドを作り出せるでしょう。

ポピュラー音楽の世界ではそこまでの技術を求められないかもしれませんが、
優れた楽曲を作るためには習得することを奨めたいです。

▶今までに投稿した『0から学ぶJPOPの編曲講座』の記事はこちらから読めます。

今回は初心者向けにストリングスの基礎について解説しました。

もっと本格的に学びたい方はオーケストレーション(管弦楽法)を学ぶといいでしょう。
優れた書籍が何冊かありますので挑戦してみてください。

和声学や対位法も合わせて勉強すると効果的ですよ。

ストリングスは色々なジャンルで使われますので
様々な奏法や特徴をしっかり学んで使いこなしたいですね。

それが出来るようになれば、あなたの音楽は今よりもはるかに輝くでしょう。

ウォルター・ピストン (著), 戸田 邦雄 (翻訳)

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