音楽理論の勉強が必要だと頭では分かっているけれど
難しくて面倒でやりたくないっていう人いますよね。
音楽理論は過去の音楽家たちの知恵の集合体で、
それを体系化されたものですから学ばない理由はありません。
しかし楽器を弾いたり作曲をするのとは違い、
面白くないからやる気がおきない気持ちは分かります。
そこで今回は、その音楽理論を短時間で効率よく学ぶ術を
伝授したいと思います。
音楽理論のカギを握るのは五度圏
音楽理論を学ぶ上で重要な鍵を握っているのは『五度圏』です。
五度圏はサークル・オブ・フィフスとも呼ばれます。
聞いたことがある人もいると思いますが
何のために存在するのかよく分からないでしょう。
実はこの『五度圏』には音楽理論を学ぶ上で重要な要素がたっぷり含まれているので、
暗記さえすれば短時間で完璧に音楽理論を覚えられるのです!!
具体的にはどのような知識を身に付けられるのでしょうか?
この記事を読んで学べば主に以下の4つの知識を身につけられます。
1.全ての調のIIm7→V7→I(強進行)
2.調号にシャープやフラットが付く順番と数
3.全ての調のメジャーとマイナーのスケール
4.全ての調のダイアトニックコード
それでは一つずつ解説していきます。
音楽理論の基礎① 全ての調の IIm7→V7→Iを覚える
私の講座で使用する五度圏は時計回りに完全4度ずつ上行します。
D→G→C→F→Bbといった感じです。
たまに反対周りで使用する人もいますが、音楽理論を学ぶ上では
こちらのほうが圧倒的に分かりやすいです。
勘のいい人ならすでに気が付いたと思いますが、
D→G→C→Fという流れはツーファイブワンの進行になっています。
五度圏を時計回りに進めると強進行になっています。
すなわち、全ての調のツーファイブワンが覚えられるのです。
五度圏を見ながらあらゆる調のIIm7 →Ⅴ7→I を覚えてください。
・D→G→CであればKey in CのIIm7 →Ⅴ7→I (Dm7→G7→C)
・G→C→FであればKey in FのIIm7 →Ⅴ7→I (Gm7→C7→F)
・B→E→AであればKey in AのIIm7 →Ⅴ7→I (Bm7→E7→A)
になっているということです。
また短調のIIm7♭5→Ⅴ7→Imを覚えるのにも、
セカンダリードミナントを IIm7→Ⅴ7に分けるときにも役に立ちます。
必ず覚えましょう。
IIIm7→VIm7→IIm7→Ⅴ7→Iは全て強進行になっています。
Key in Cの場合はEm7→Am7→Dm7→G7→Cです。
左下のEから時計回りの順になっているということです。
五度圏で確認してみましょう。
全ての調のIIIm7→VIm7→IIm7→Ⅴ7→Iの進行も覚えられるのです。
【コード進行講座】全ての調のツーファイブワンをサクッと覚える方法
音楽理論の基礎② 調号に♯と♭が付く順番と数
次に調号の解説をします。
・Key in Aはシャープがいくつ付くのか?
・Key in Fmはフラットがいくつ付くのか?
パッと答えられる人は少ないと思います。
しかし五度圏を覚えれば、その問題もすぐに解決します。
Cを基点として、時計回りに進むと調号に♭が1つずつ増えていきます。
反時計回りに進むと調号に♯が1つずつ増えていきます。
Key in Fはbが1つ。key in Gならば#が1つということです。
ただ、これはあまり重要ではありません。
もっとわかりやすい覚え方があるからです。
ここからの説明が最も大切ですので集中してよく読んでください。
調号に♯が付く順番はFから反時計回りに進み、Bで終えます。
この順を「ファドソレラミシ」と覚えてください。
調号に♭が付く順番はBから時計回りに進み、Fで終えます。
この順を「シミラレソドファ」と覚えてください。
順番が逆になっていることにも注目です。
・♯が付く順は「ファドソレラミシ」「ファドソレラミシ」
・♭が付く順は「シミラレソドファ」「シミラレソドファ」
覚えるまで呪文のように毎日唱え続けましょう。
音読することがきわめて大切です。
音楽理論の基礎③ ♯と♭の数は合計で7になる
全ての調の調号を1つずつ覚えるのは骨が折れる作業です。
しかし、ある法則を知るとわずかな時間で完璧に覚えることができます。
以下の図を見てください。
同じアルファベットが持つ♯・♭の数が合計で7になることに注目してください。
これさえ知っておけば短時間で各調の調号の数と付く順番を完璧に覚えられるのです!
まずは、上の図の答えを片側ずつ隠して全て覚えましょう。
Key in Fがb1つならばKey in F#は#6と考えなくても
答えがすぐに出てきますよね。
短調の曲に興味がないという人も、ここでの知識がスケールの
学習に繋がってきますので必ず覚えてください。
ここまでのおさらいです。
・♯が付く順番はファドソレラミシ
・♭が付く順番はシミラレソドファ
・同じアルファベットが持つ♯・♭の数は合計で7になる法則
これらの知識を身につけると他の様々な知識も
合わせて覚えているのです。
音楽理論の基礎④ 全ての調のメジャーとマイナーのスケール
全てのメジャースケールとナチュラルマイナースケールを
完璧に覚えています。確認してみましょう。
A♭メジャースケールであれば、まず「ラシドレミファソ」と
♭や♯を付けずに並べておきます。
Key in A♭は♭が4つ付きますので、
「シミラレソドファ」の最初の4つ、シミラレに♭を付ければ完成します。
コードスケールの学習にも役立ちます。
なぜならば、メジャースケールとアイオニアンスケールは同じ構成であり、
ナチュラルマイナースケールとエオリアンスケールが同じ構成だからです。
アイオニアンとリディアン、ミクソリディアンは相違音が1音のみ。
エオリアンとドリアン、フリジアンの相違音も1音のみです。
これらの法則を覚えればあっという間に多くのスケールを
完璧に記憶させることが出来るのです。
スケールに関しては以下の記事に詳しく書かれています。
【初心者の音楽理論3】コードスケールは何のために学ぶのか?
音楽理論の基礎⑤ 全ての調のダイアトニックコード
全ての調のダイアトニック・コードも覚えています。
KEY in Eを例に考えてみましょう。
ディグリー(IM7 - IIm7 - IIIm7 - IVM7 - Ⅴ7 - VIm7 - ⅤIIm7♭5)を
参考にしながら♯や♭を付けずにEM7 – Fm7・・・とコードを並べていきます。
そしてKey in Eの場合は、ファドソレ(F・C・G・D)の
4つに#を付ければ完成です。
I→VIm7→IIm7→V7という進行あった場合には
E→C#m7→F#m7→B7という進行になります。
短調の例も1つ出しておきます。
ただし、これはナチュラルマイナースケールに基づくダイアトニックコードです。
これまで五度圏を利用して様々な理論を学んできました。
しかしコードの構成についてはまだ学んでいないので、
C♯m7やG♯m7といったコードの構成音を瞬時に
思い浮かべるのはなかなか難しいと思います。
▼以下の記事を読めばあらゆる調のコード理論を学べます。
『ハ長調のコード進行しか分からない』から今すぐ抜け出す方法
音楽理論の基礎⑥ 五度圏の補足
ここからは五度圏で学べる音楽理論の補足について解説します。
初心者の方には少し難しく感じるかも知れませんが、
ガンバって付いてきてください。
5.全てのV7のトライトーン
ドミナントセブンスコードの不安定さを生み出しているのは、
トライトーンと呼ばれるものです。
トライトーンとは増4度(減5度)の音程(インターバル)のことで、
G7ならば「シとファ」の2音のことを指します。
「シとファ」を英語表記するとBとFになります。
この2音は五度圏の対極の関係になっているのです。
そして、これと関係しているのが次に解説する裏コードです。
6.裏コードも五度圏で覚えられる
裏コードとは♭II7のことでV7の代理コードとして知られていますが、
私は裏コードはV7の代理ではないという考えを持っています。
この点に関しては裏コードはドミナントセブンスコードの代理コードにはなりえない
という記事で書いていますので、興味がある方はお読みください。
代理かどうかは横に置いておいて、この関係性も五度圏で覚えられます。
G7とDb7で考えて見ましょう。
GとDbは五度圏の対極の関係になっています。
つまり、増4度(減5度)のインターバルなのです。
ということは先ほど解説したBとFも裏コードの関係だということです。
GとDbがトライトーンになっているということは、
この2つの音を含むドミナントセブンスコードが2つあるということです。
ひとつはEb7でもうひとつはEbの対極の音なので、
A7だということが分かります。
※異名同音には気をつけてください。
EbとAを含むドミナントセブンスコードも2つあるということです。
これ以上続けませんが、興味がある方は調べてみてください。
いかがでしたか?
五度圏の存在は知っていたとしても、これほど音楽理論を
学ぶ上での重要な要素が含まれているとは思わなかったでしょう。
五度圏を使えば、音楽理論の基礎を短時間で学べます。
そして、基礎をしっかり固めることであなたの音楽活動の
大きな支えとなるのです。
一回読んだだけでは全てを理解するのは難しいでしょう。
何度も読んでコツコツと学ぶことが大切なのです。
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