ダイアトニックコードを覚えてコード進行を作れるようになると
その引き出しを増やすために様々なコードを覚えることになると思います。
その中のひとつにサブドミナントマイナーコードがあります。
サブドミナントマイナーコードは
その長調の4番目のコードをマイナーにしたものです。
Key in CならFmになります。もちろんFm7も同じです。
さて、コード進行にサブドミナントマイナーコードを取り入れることは出来たとしても
そこで何のスケールを使ってフレーズを作ればいいのか
分からないと悩んでいる方がいると思います。
コードスケールは理論を学ばず感覚でもなんとかフレーズを作ることは出来ます。
しかし、理論をきちんと学んでおけばあるスケールでうまくフレーズが作れなければ
別のスケールを使ってみる、ということが出来るのです。
サブドミナントマイナーコードのスケールは選択肢が多い
コードスケールの面白いところは答えがひとつではなく複数あるということです。
それぞれのスケールに特徴があるのでどのスケールを用いるのか
色々考えてみるとなかなか面白いですよ。
よく理論書のなかには
「サブドミナントマイナーにはドリアンを使えばいい」
とか書いてありますが、これを鵜呑みにするのはやめましょう。
なぜなら、先ほど述べたようにスケールの答えはひとつではないからです。
ドリアンを使ってはいけないという意味ではありません。
他のスケールも使えるので、ドリアンしか使えないという思い込みはやめましょうということです。
選択肢は複数あるので、知識を身につけておくと
うまくフレーズが作れなかった場合、他の対処法を発見することが出来るのです。
サブドミナントマイナーを使ったコード進行には以下のようなものがあります。
※Key in Cで解説します。
・C – F – Fm - G7
・C - Fm - C – G7
・C – C7 – F – Fm
・F – Fm - C
他にもありますが代表的なものを挙げてみました。
どのコードスケールを使えばいいのかという考え方ですが
明快な答えはありません。
元の調性や音楽のジャンル、作曲家のセンスなどを考慮します。
理想としては、何も考えなくても頭の中でいいフレーズが
自然と思い浮かぶことですが、なかなかそう上手くはいきませんよね。
ただ、あまり難しく考えなくても色々試してみて
いいフレーズを作っていけばいいと思います。
経験を積み感性が磨かれるとうまくフレーズが作れるようになると思います。
先ほどのコード進行で考えた場合
前後のコードとそのコードで使われるスケールが何か
そのあたりを考慮して決めていくのがいいと思います。
調性感に近づけるのか遠ざけるのかによって
コードスケールの考え方が変わります。
調性感に近づける場合はKey in Cは考えやすくて
Fmで使用するスケールの中に出来るだけシャープやフラットを
含まないようにするということです。
するとドリアンが有力になってきます。
これが「理論書でドリアンを使えばいい」と書かれている理由だと思います。
ただしサブドミナントマイナーのところだけ
雰囲気を大きく変えたいと思うこともあるでしょう。
その場合はドリアンよりも別のスケールを使ったほうが
いい効果が得られるのです。
例えば、FフリジアンはKey in Cにはない音がたくさん含まれています。
こういうスケールを使うと雰囲気を大きく変えることができるのです。
ここでサブドミナントコードで使用できるスケールを紹介しましょう。
ペンタトニックスケールも使えますので上記のスケールだけではありません。
サブドミナントマイナーコードのトライアドとセブンスのスケールの違い
サブドミナントマイナーコードに限った話ではありませんが
そのコードがトライアドかセブンスかでも選べるスケールの数は変わります。
別の記事でも述べましたが、コードスケールの考え方は
そのコードのコードトーン(構成音)を並べておいて
その間を何の音で埋めるのかという考え方がおススメです。
セブンスコードだとはじめから7度の音が埋められているのに対し
トライアドなら7度の音の選択肢が増えるのです。
具体的な例を出して解説します。
Fm7の場合はコードトーンはファ・ラb・ド・ミbの4つですが
Fmならファ・ラb・ドの3つなので、スケールの7度のミの音を
ミにするかミbにするか選べるということです。
もし、Key in Cの調性感に近づけたいのであれば
ミを選ぶほうがいいということになります。
そうすると候補として挙げられるのが
『Fメロディックマイナースケール(上行)』
になります。
もちろんドリアンも使えるのでどちらがいいのか
色々試してみるのがいいと思います。
メロディックマイナースケール(上行)とドリアンの違いは7度の音だけです。
このあたりがコードスケールの知識を身につけたときのメリットといえます。
サブドミナントマイナーコードの前後のコードとスケールに注目
サブドミナントマイナーコードに何のスケールを使うのかだけではなく
その前や後のコードのスケールについても考える必要があります。
私は『調性感の統一』という表現を使っています。
例えばF – Fm – G7というコード進行があった場合に
FmにFドリアンを使うとします。
そのときにその前のFにリディアンではなく
アイオニアンを使うという選択肢が生まれるのです。
元の調であるKey in Cに近づける場合はリディアンでいいのですが
次のFmのFドリアンの調性に近づけるのであれば
Fアイオニアンのほうがいいでしょう。
シかシbなのかという1音だけの違いだけですが
こういう細かい違いにこだわって欲しいと思います。
どちらが正しいというわけではなく、どちらも有力な候補ですので
よく考えて使用するスケールを決めてください。
サブドミナントマイナーコードで転調した場合の考え方
転調が絡んできた場合のスケールの考え方も解説しましょう。
例えばC→Fm7→Bb7→Ebというコード進行があった場合
Fm7はサブドミナントマイナーとしての役割もありますが
Key in EbのツーファイブワンのIIm7 としての役割も担っています。
この場合はそれほど悩む必要もなくIIm7 にはドリアンを使うのが普通ですので
Key in Cの調性を考慮してもドリアンを使うのが無難といえます。
ただし、Ebではなくて別のコードが使われた場合は事情が異なります。
その場合は前述したように前後のコードとそこで使われるスケール
調性感に近づけるのか遠ざけるのかといった点を考慮して
使用するスケールを決めるといいでしょう。
最後のひとこと
コードスケールを解説した理論書は少なく
何のスケールを使えばいいのか悩んでいる人も
今回の講座で少しは理解が深まったのではないかと思います。
スケールを学んでいない人はどうしたらいいのか分からなくなり
感性に頼ることになってしまいます。
それで上手くいけばいいのですが躓くこともあるでしょう。
コードスケールは答えがひとつではなく複数あり
様々なことを考慮して決めていくのです。
そこが難しくもあり魅力的でもあります。
ただ学ぶだけでなく実際に自分の曲で試行錯誤を繰り返しましょう。
やがてその努力が大きな力となり、あなたを支えます。
知識があればあるほど音楽性の幅が広がっていくのです。
すばらしくわかりやすい!