今回は主に普段ポピュラー音楽を作っている方のために
コードスケールの解説をしていきたいと思います。
アイオニアンとかミクソリディアンとか聞いたことがあるかもしれません。
ジャズをやっている方ならば必須の知識かもしれませんが
ポップスの曲を作っている人には何のために覚えるのか分からないという
人もいるのではないでしょうか?
厳密に言えば作曲にはそれほど役に立たないかもしれませんが
編曲ではポップスでもスケールの知識は必要です。
コードスケールの知識がなくても感覚で作ることが出来るかもしれませんが、
私の経験上感覚だけではいつか必ず壁にぶつかり困ることになります。
そうならないためにも今回の記事でスケールの基礎知識を習得しましょう。
メジャーとマイナーのスケールを覚える
ドレミファソラシドと並べられたスケールは
「Cメジャースケール」
といいます。
長調のスケールに関してはさほど難しくないと思います。
その調の調号の数さえ覚えてしまえばいいだけです。
例えばKey in Aならばファ・ド・ソの3つの音にシャープを
付ければ「Aメジャースケール」が出来るということです。
それに対して、短調は3つのスケールがあるので
やや難しいイメージがあると思います。
・ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
・ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
・メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
ただし、使う頻度が高いのは「ナチュラルマイナースケール」
だと思いますので、まずはそれだけ覚えれば十分です。
よって、短調もその調の調号の数さえ覚えてしまえばいいのです。
例えば、Key in Fmならばシ・ミ・ラ・レの4つの音にフラットを付ければ
Fナチュラルマイナースケールが出来るのです。
ここで必ず覚えて欲しいのは
メジャースケールとアイオニアンはまったく同じ構成
ナチュラルマイナースケールとエオリアンはまったく同じ構成
になっているということです。
コードスケールは何のために学ぶのか?
ここからは本格的にコードスケールの解説をしていきます。
何のためにコードスケールを学ぶのか理解できていない人も
いると思いますのでそこから説明します。
例えばC→Am→Dm7→V7(I→VIm→IIm7→V7)という進行では
Cアイオニアン、Aエオリアン、Dドリアン、Gミクソリディアンという
スケールが使われることが多いです。
しかしこれらのスケールの構成を見てみると、
全てCメジャースケールの順番を並び替えただけに
なっていることに気がつきます。
これではスケールなど覚えなくても
「Cメジャースケールを使えばいいではないか」
という考えになってしまいます。
誤解を恐れずに言いますが、ポピュラー音楽に関しては転調(部分転調を含む)
が絡んでこない限り、コード・スケールの知識はあまり役に立ちません。
しかし全く転調しない楽曲は少なく、また斬新な転調も
多く見られるのでコードスケールの学習は必須といえます。
先ほどのコード進行のAmをA7に代えてみましょう。
するとC→A7→Dm7→V7(I→VI7→IIm7→V7)という進行になります。
A7のM3はド#ですからCメジャースケールのドの音とぶつかってしまいます。
これまでは「Cメジャースケールを使えばいい」という理屈が通用しましたが、
今度はそうはいきません。
それではA7のところでは何のスケールを使えばいいのでしょうか。
コードスケールは
「まずコードトーンを並べてその間を何の音で埋めるのか」
という考え方が分かりやすいと思います。
A7のコードトーンはラ・ド#・ミ・ソです。これらの音の間を埋めていきます。
「Cメジャースケールの音で間を埋めればいいのでは?」
このように考えた人もいると思います。
この考え方は結構いい線をついています。
ラ・ド#・ミ・ソの間にシ・レ・ファで埋めると
Aミクソリディアン♭6というスケールが出来ます。
このスケールはこの場面では最も多く使われると言っていいと思います。
ただし、この場面でAミクソリディアン♭6が唯一使えるスケールではありません。
コードスケールの面白いところは複数のスケールが使えて、
状況によって使い分けていくところです。
このあたりは以下の記事に詳しく書かれているので参考にしてください。
コードスケールの基礎を学ぶ
下の図のディグリーはそのスケールが主に使われるコードを示しています。
頭文字をとって、「イドフリミエロ」と「エロイドフリミ」を
呪文のようにして覚えてしまいましょう。
イオニアンはアイオニアンと呼ばれることが一般的ですが
頭文字をとって覚えるにはイオニアンのほうがいいので
ここではイオニアンと表記します。
転調が絡んでこない場合はこれらのスケールでフレーズを考えればいいでしょう。
つまり、IIm7にはドリアンスケールを、Ⅴ7にはミクソリディアンスケールを
使っていくということです。
ただし、絶対にそのスケールしか使えないかというとそうではなく
様々な状況に応じて異なるスケールを使うことがあります。
これがコードスケールの魅力といえます。
つづいて、それぞれのスケールのコードトーンとアボイドノート
そしてテンションノートを学びましょう。
コードトーンとはコードの構成音のことです。
アボイドノートは使うときに気をつける音で
テンションノートはコードトーンではないが使うことが出来る音です。
大まかではありますがこのように覚えてください。
メジャーセブンスコードの構成を上の図を見ながら確認しましょう。
構成はR – M3 – P5 – M7になっています。
日本語だと根音、長3度、完全5度、長7度ということです。
例えばKey in CでCM7というコードに対してCアイオニアンを使ったと仮定します。
コードトーンはド(R)・ミ(M3)・ソ(P5)・シ(M7)の4音で、
それに加えてテンションノートであるレ(9th)とラ(13th)が使えるということです。
アボイドノートはP4(完全4度)ですのでCM7の場合はファになります。
長い音符で使うと音がにごる可能性があるので気をつけましょうということです。
このあたりまでは知識がなくても耳で聞いて判断できると思います。
しかし、先ほども述べたように転調が絡んでくると
スケールの知識がないと混乱して行き詰まってしまうことがあるのです。
それぞれのコードにどういうスケールが使えるのかを知っておくと、
選択肢が増えて、音楽性も豊かになります。
特にサブドミナント・マイナー・コードやセカンダリー・ドミナントは
使用することが多いので、これらのコードを使った時に
どういうスケールを使ってフレーズを作ればいいのかを覚える必要があります。
ポピュラー音楽に関しては、コードスケールは転調と密接な関係にありますので、
サブドミナント・マイナー・コードやセカンダリー・ドミナントを学ぶのと同時に、
転調のやり方を学ぶ必要があります。
以下に転調に関する記事を用紙しましたので、読んでみてください。
コードスケールを記憶する
これからコードスケールの覚え方を解説します。
アイオニアンとエオリアンを基準としながら他のスケールとの相違音を学びます。
アイオニアンとリディアン、ミクソリディアンは違いが1音しかありませんし、
エオリアンとドリアン、フリジアンも違いが1音だけです。
全てのスケールを丸暗記するのではなく、こういう相違音を覚えると
短時間で効率よく覚えられるのです。
また、ドミナントセブンスコードで使うスケールは
ミクソリディアンを基準にして解説していきます。
これまで学習してきた知識があれば、非常に多くのスケールを
わずかな時間で完璧に覚えることができます。
C音をルートとしますが、どの音をルートにしてもスケールの相違音に変化はありません。
それでは以下の譜面でコードスケールを覚えていきましょう。
アイオニアンとリディアンの違いは4度のみです。
P4を半音上げてaug4にすればリディアンになります。
アイオニアンとミクソリディアンの違いは7度のみです。
M7を半音下げてm7にするとミクソリディアンになります。
簡単ですよね。
エオリアンとドリアンの違いは6度のみです。
m6を半音上げてM6にするとドリアンになります。
エオリアンとフリジアンの違いは2度のみです。
M2を半音下げてm2にするとフリジアンになります。
このわずかな相違音を知るだけで全ての音をルートとした、
アイオニアン、ドリアン、フリジアン、リディアン、
ミクソリディアン、エオリアンを完璧に覚えてることになっています。
全てのメジャースケールとナチュラルマイナースケールさえ
覚えてしまえばこれだけのスケールを完璧に記憶することが出来るのです。
ロクリアンやその他のスケールは後述します。
V7に使えるコードスケール
ドミナントセブンスコードには様々なスケールが使うことが出来ます。
ここでは代表的なスケールを紹介します。
ドミナントセブンスコードで使われるスケールは
ミクソリディアンを基準として覚えるのがおススメです。
以下の譜面を見てみましょう。
ミクソリディアンb6はその名のとおり、ミクソリディアンの6番目の音を半音下げた
スケールになっていますので覚えやすいですよね。
リディアン♭7もミクソリディアンとの違いは1音だけで
ミクソリディアンのP4を半音あげればいいのです。
ちなみに名前を見ればわかると思いますがリディアン♭7スケールは
リディアンの7度の音を半音下げたスケールにもなっています。
ミクソリディアンは五度圏を使うとより簡単に覚えられます。
アイオニアンから導いてもいいのですが五度圏を使うと容易に
全てのミクソリディアンを覚えられます。
五度圏の1つ右に進んだ音がKEYになっているのでそれを利用すればいいのです。
例えば、E♭ミクソリディアン・スケールを導きたい場合、
ルート音の完全4度上(完全5度下)の音が主音になります。
五度圏の図で言うと、時計回りに1つ進めばいいのですから
key in A♭だと分かります。
そしてkey in A♭は♭4つ(シミラレ)付きますので、
E♭ミクソリディアンスケールも同じく♭4つ付きます。
こんな感じで覚えるのもいいでしょう。
ロクリアンの覚え方は主音との音程から導くのが分かりやすいと思います。
ロクリアンは主にⅦm7♭5で使われます。
よって短2度上の音がKey(主音)になるのです。
例えばEロクリアンの構成を知りたい時には
Key in Fの調号を調べればすぐに分かります。
Key in Fは♭が1つ付くのでEロクリアンも
「ミファソラシドレ」
と並べて置き、シに♭を付ければ出来上がりです。
主音との音程から導くやり方もなかなか分かりやすいので試してみてください。
最後のひとこと
一見難しくみえるスケールですが知識が身につくと
奥が深く魅力的であると感じるようになります。
同じコードでも使うスケールを変えることで印象も大きく変わります。
また、セカンダリードミナントやサブドミナントマイナー、
裏コードやディミニッシュコードが使われたときのスケールを
知っておかないと感覚に頼ることになってしまいます。
少なくてもポピュラー音楽の世界でコードスケールの知識を
しっかりと身に付けている人は少ないと思いますので、
ここでしっかり覚えておくと音楽性の幅が広がるだけでなく
ライバルに差をつけることも出来るのです。
あなたが本気ですばらしい音楽を作る気持ちがあるならば
しっかりと学ぶことを強くおススメします。
作曲するときサブドミナントマイナーコードには何のスケールを使えばいいの?
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